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PDE Inter-Universityニューズレター:第十七号
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全国高校哲学エッセイコンクール(2006)(第15回 
国際哲学オリンピック [IPO] 国内予選)審査結果の発表
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PDE Inter-Universityニューズレター17号:

2007年2月28日 本号は、第十五回国際哲学オリンピアード(IPO)トルコ大会
日本代表国内予選の結果を発表させていただきます――編集者。


全国高校哲学エッセイコンクール(2006)
(第15回 国際哲学オリンピック [IPO] 国内予選)
審査結果の発表


  全国から60人が、英語で哲学のエッセイの力作を寄せて下さり、内容的にも従来と比較して格段に優秀な作品が現れました。委員会は若々しい生徒諸君の意欲に感動を覚えつつ、慎重かつ厳密に審査しました。結果として次のように、金賞2人、銀賞2人、銅賞3人、佳作4人を決定したことをお知らせいたします。

金賞: 佐久間真紀(女子学院)  栗岡奈子(同志社国際)
銀賞: 赤川航紀(麻布学園)   服部南見(創価)
銅賞: 青木梨紗(同志社国際)  江添光城(創価)
佐野ありさ(福岡インターナショナル・スクール)
佳作: 今井なつみ(同志社国際)   畑 里沙(三重県立伊勢)
青木一博(関西創価)   吉川真優(鎌倉女学院)

 金賞のお2人には、本年5月18日〜21日に、トルコのアンタリアで行われる第15回国際哲学オリンピックに日本代表として出場していただきます。この大会には IPO日本委員会から北垣宗治と林貴啓が共に出席してアドヴァイザーを務めます。銀賞は1万円の図書券、銅賞は5千円の図書券とし、後日郵送いたします。

国際哲学オリンピック(International Philosophy Olympiad: IPO)は高校生の哲学エッセイ・コンテストです。従って本委員会は応募資格を中学3年から高校2年までとしています。第16回IPO は2008年5月に開催されますが、開催地はまだ決定していません。本年5月中にきまりますので、敬和学園大学のHP (www.keiwa-c.ac.jp) でお知らせします。それの国内予選の詳細については本年12月1日に発表いたしますので、奮って応募してくださるよう期待いたします。

2007年2月28日 
国際哲学オリンピック(IPO)日本委員会
委 員 長  北垣宗治 (敬和学園大学前学長)
事務 局長  延原時行 (敬和学園大学教授)
委    員  林 貴啓 (立命館大学講師)


IPO国内委員会
〒957-8585 新発田市富塚1270
敬和学園大学延原研究室内 日本IPO事務局
(TEL.0254−26−3636)

備考:上記二名の日本代表を第十五回トルコ大会に送るに当って、日本の高校生諸君に「哲学の心得」をここで一言述べて、激励の言葉とさせていただきます。

 日本の高校生諸君(今回選ばれてトルコ大会に臨む諸君、おとらず優秀な作品を応募したが、代表にまでは至らなかった熱心な応募者諸君、また多くの未知の向学者の皆さん)に是非、プラトンの『ソークラテースの弁明・クリトーン・パイドーン』(田中美知太郎・池田美恵共訳、新潮文庫)を読んで欲しいと思います。哲学的思索というものが、日本の高校生の内でも最も優れた人たちが考えるように、一つは世界の現状と歴史の知識、もう一つは対話と平和の強調、といったところに尽きるものではなく、これらを批判的に高く飛翔する精神の自己改革運動であることが、ここには明瞭であるからです。

 「感覚的で可視的なもの」と「叡知的で不可視なもの」の区別、前者から後者への飛躍、それをソクラテスは「魂の解放」と言っております。これあるがために、彼は、毒杯をあえてあおる勇気、死を超える決断をもったのでした。人生を現世的欲望と現世的覇権とだけ考えるアテネの政治に抗して、ですね。そしてこれが、その時以来、哲学の心なのです。ここから見れば、「感覚的で可視的なもの」への関係は、隷属としか考えられません。そうした隷属状態から人間の魂(ないし人格)を解放するから、哲学を骨子とする学術は初めて「リベラル・アーツ」(解放する諸芸)と呼ばれることができるのです。

 現代哲学のもっとも崇高な達成を示したアルフレッド・ノース・ホワイトヘッドは、弟子ルシアン・プライスの編集した記録『ホワイトヘッドの対談』岡田・藤本共訳(東京・みすず書房、1980年)に収められた最後の談話(1947年11月11日付、12月30日永眠)の中で、ソクラテスが弟子プラトンの『パイドーン』で語る「死を超える哲学者の魂の解放」を、彼の窮めた創造作用の立場から再解釈して示していて、感動的です。

 「神は世界のうちにあるのであって、さもなければどこにも居らず、絶えずわれわれの内部と周辺で創造しています。この創造原理はいたるところに、生物体にも、いわゆる非生物体にも、エーテルにも、水にも、土にも、人間の心にもあります。しかし、この創造はひとつの連続的な過程であり、しかも<過程はそれ自体で現実態なのです>。というのは、どこかに到達したとたん、新たな旅路が始まるだけなのですから。この創造の過程にあずかる限り、人間は神的なもの、神にあずかります。そして、かかる参与こそ、人間の不死性であり、人間の個性が肉体の死を超えて生き残っていくのかどうかといった問題を無意味なものにしてしまうものなのです。宇宙における共同創造者としての人間の真の運命こそ、人間の尊厳であり、崇高さなのです」(531頁)。

 哲学エッセイは「これ」に触れなければならない。そう私は確信します。そうしたことがIPOの運動を通じて生徒諸君に浸透することを願っています。

(文責:延原)

 
     

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