キャンパス日誌

【卒業生リレーエッセイ12】~アマチュア劇団を主宰する織田智頼さん~

続けられる価値との出会い

織田智頼

(1997年度卒業 織田智頼さん)


卒業してから早10数年。学生時代を振り返れば様々なことをしてきましたが、これだけは何よりも濃くいまだ続けていることがあります。
現在、私は仕事をしながら『舞台屋織田組』というアマチュア劇団を主宰し、年2回の公演やアマチュア映画に出演するなどの活動をしています。そもそも演劇との出会いは学生時代にさかのぼります。ハッキリ言ってこの分野、苦手であり『大キライ』でした。何が楽しくて、嬉しいのか?そしてこんな意味もなく恥ずかしいことをやって何になるのか?あげればキリがないくらいです。だから当然、私と結びつくはずもなかったのですが……。
大学というのは人種のるつぼです。これまでの生活範囲を超えて様々な人が集まり、同時に様々な物事も起こります。そしてそこで出会った何人か、物事のいくつかは後々の人生に深く関わっていくものだと思います。
当時、私は初めての一人暮らしに戸惑う毎日でした。その中で友人たちと過ごすわずかな時間は何よりもの安らぎになりました。それ以外はアパートで一人ぼっちです。ですから現状を変えるためにも、数少ない友人たちとの接点を多く持ちたいという思いが強くありました。そしてその接点が演劇でした。たとえ「大キライ」な分野でも飛び込んでみるだけの価値がある、そう思って始めるまでに至った時間は約1年。やっと踏み出せた一歩です。そして気がつくと10数年。ここまで続けているとは当時は思いもしませんでした。

P.12リレーエッセイ織田くん

舞台『椿説 夜叉ヶ池』のワンシーン


演劇は決して楽なものではありません。人には見せることのない「キツイ」「ツライ」「クルシイ」の三重苦の努力が華やかな舞台を支えています。それを費やすだけの価値あるものがそこには存在します。あの当時がなければ、敬和学園大学に来なければ今の自分はなかった。そして趣味という領域を超え、ライフワークとなってしまった演劇活動。カラダが動くかぎり、目の前に観客がいるかぎり、舞台上に立ち続けたい、今ではそう思えています。(1997年度卒業 織田智頼さん)