キャンパス日誌

【卒業生リレーエッセイ15】~エクアドルのバナナ農園で活躍する高橋力さん~

愛のためにエクアドルへ

高橋力、直

1997年度卒業 高橋力さん・直さん


創立20年おめでとうございます。卒業生として、また敬和で出会った夫婦として、20年を祝えることは大きな喜びであると共に感謝でもあります。
現在、私たち家族は南米エクアドルに住んでいます。2年前の7月8日(七転び八起き)に、減農薬栽培のバナナ農園で働くために移住してきました。1年以上の時を費やし「人生は時が満ちれば何時だって、また新たに始められる」と決断に至りました。
当時、私は実家で酪農を営んでおり、既に5年の歳月が過ぎていました。それでもなお、たくさんの柵を振り払う決心をしたのは、卒業後の海外2年間の遊学中に得た「21世紀は人口増加と食の安全性からの要請でオーガニック、しかもスケールの大きなアグリビジネスがきっとシェアを広げて来る」という確信からくる有機農業への強い好奇心と憧れ、そして、エクアドルのバナナ農園視察の帰りに機内で観たイタリア映画での「愛のために飛びなさい。だって神様がそう仰っているのだから」という台詞に感涙したからでした。
これまでもより自然な酪農を模索したり、有機農業を手掛けたりしましたが、日本の農家は大きくても2ヘクタール、酪農で最大20ヘクタール程度です。現在、バナナ農園は300ヘクタールまで拡張、これは東京ドームが約75個入る広さです。農園では、スペイン語と格闘しながら350人を越える労働者を管理し、毎日畑を歩き、状態を観察し、パッキング時の品質をチェックし、更なる農園の改善のためのシステムづくりをしています。我々が生産したバナナは、全量を日本に輸出し、全国で「田辺農園のバナナ」という商品名で販売しています。
本物のバナナ栽培専門家になるため、これからの40年間を使っていこうと思っています。そして、いつかは環境への関心や教育のニーズに応え、オーガニックツアーを催し、世界中からのお客さまを受入れたいです。(1997年度卒業 高橋力さん・直さん(旧姓: 内田))