キャンパス日誌

【学生レポート】ベトナム戦争から考えた国際関係(C.A.H.にて)

敬和学園大学では、人間形成の場として、毎週金曜日に「チャペル・アッセンブリ・アワー(C.A.H.)」の時間を設けています。
2015年6月12日のC.A.H.では、今年入学したチャン・ティ・フォンさん(英語文化コミュニケーション学科1年、ベトナム・ハノイ市出身)が、「ベトナム戦争から考えた国際関係」と題して、お話ししてくれました。

皆さん、こんにちは!

これは何でしょうか。これはスマートフォンですね。はい。

私はフォンです。チャン・ティ・フォンです。スマートフォンのフォンです。ベトナムから来ました。英語文化コミュニケーション学科1年生です。どうぞよろしくお願いいたします。

チャペル・アッセンブリ・アワーでのフォンさんの発表

チャペル・アッセンブリ・アワーでのフォンさんの発表

 

今日は「ベトナム戦争から考えた国際関係」についてお話しします。

この間、『基礎演習』の授業で、先生がこんな質問をされました。
「ベトナムは中国、フランス、アメリカの植民地でした。あなたはそれらの国の人たちのことをどう思いますか」

この先生の質問への答えについて、皆さんにぜひ聞いて欲しいと思います。

 

私が生まれたころにはベトナム戦争が終わって、すでに20年たっていました。

しかし、いまだに戦争の跡がベトナムには残っています。私は、戦争で犠牲になった遺族の悲しみや化学兵器で障がいを負った人々の苦しみをずっと見てきました。私の叔父もベトナム戦争で亡くなりました。そして、子供のころ、おじいちゃんが私によくベトナム戦争の話をしてくれました。

ベトナムでの戦争は、中国、フランスそしてアメリカと1,000年以上続きました。テレビは現在でも、戦争をテーマとしてドキュメンタリーなどを報道していて、私たちベトナム人にとって戦争の印象はまだ強く残っています。前世代の人々が戦争に出て、自国のために勇敢に戦っていたことをいつも誇りに思いながら、相手の国に対しての怒りも抱いていました。中国人、フランス人、アメリカ人のせいで、ベトナム人が苦しめられた、中国もフランスもアメリカも、みんなが悪い人たちだと私は思っていました。

フォンさんの話を聴く学生たち

フォンさんの話を聴く学生たち

 

私はその思いを持ったまま日本に来ました。最初、専門学校で2年間日本語を勉強していました。この学校はほとんど外国人でした。最初はどうしても戦争相手の国の人たちを、好きになれませんでした。

 

私の国は雪が全く降りません。新潟での冬を迎え、とても寒かったので、学校の近くに引っ越すことにしました。急に引っ越したので、部屋がなく、私は中国人とルームメイトになりました。当初、あまり好きじゃない中国人とルームメイトになるなんて大丈夫かなと不安を感じていました。

しかし、彼女はいつも気を使ってくれました。ある日、彼女から「ねぇ!フォンちゃん、ご飯食べた?ご飯多めに作ったけど、よかったら、一緒に食べない?」と話かけてくれました。小さなことですが、それがきっかけで毎日彼女と話すようになり、家族の話から、恋愛まで、なんでも打ち明けられる存在になりました。彼女と生活を共にしたことで、私がずっと抱いていた誤解が解けました。それから、フランス人の友だちもアメリカ人の友だちもできました。

入学式にて仲間たちと(左がフォンさん)

入学式にて仲間たちと(左がフォンさん)

 

私の人生の中で一番辛かったのは、日本へ来たばかりの時です。たまに、カルチャーショックを受け、ホームシックにもなりました。笑ったり、泣いたりがいっぱいありました。あきらめようと思ったこともありましたが、いつも友達がそばにいてくれて応援してくれたから、あきらめずにがんばれました。一緒に勉強したり、遊んだりしてくれて、本当に感動しました。

私は今まで勝手にその国の人たちが悪いと思っていましたが、その考えがよくないと思うようになりました。そして、戦争は昔の話であって、グローバル化が進んでいる今の時代では、その考えが通用しないのだとわかりはじめました。そう思ってからは、私はそれらの国の人々が悪い人たちだとは全く思っていません。実際にこの人たちと触れあって自ら感じることが大事だと思いました。

考え方を変えてから、私は世界にお友達ができました。心を開いてお互いにわかり合えば、 親しくなります。これからいろいろな国の人たちとの友情が深まればいいなと思います。

 

最後になりますが、人生は短いからこそ、皆さん、文化に関係なく、国籍に関係なく、肌色に関係なく、一緒に楽しく過ごしましょう。

以上です、ありがとうございました。

(英語文化コミュニケーション学科1年 チャン・ティ・フォン)