教育プログラム

【学生レポート】私にとってのサードプレイス「中之島」~イナカレッジに参加して~[2019-01-10]

若者たちが期間を定めたチームの一員となり、その地域で暮らしながら、地域の課題解決を目指すプロジェクト「にいがたイナカレッジ」に、敬和学園大学の学生が参加しました。この活動は、本学の単位としても認定しているものです。

長岡市中之島にて、農産物の素晴らしさ、また農家さんの思いを発信するプロジェクトに取り組んだ亀山咲さん(国際文化学科4年)からのレポートをお届けします。

2回目となった長岡市中之島での活動

私は、今回が2回目のイナカレッジへの参加でした。
前回のインターンでは、長岡市中之島という地域で「9代目板長・若女将・地元農家で作る、新しい料亭の味プロジェクト」に取り組みました。このプロジェクトでは、地元の美味しい食材を使って「割烹 柳屋」でメニューを考えるというミッションが与えられていました。
地域の中を駆け回り、割烹の中にもその周りにも新たなつながりができ、地域の魅力を見直すことでのできたプロジェクトでした。

割烹での新メニューお披露目会

割烹での新メニューお披露目会

プロジェクトが終わった後に柳屋の若女将から、「今後も、若い人や何か挑戦したい人と、中之島の人との化学反応が起こせるようなきっかけをつくりたい」という思いを聞いていた私は、自分自身が持っていた思いを込めた新しいプロジェクト「新しい野菜の買い物プロジェクト」を企画しました。

「新しい野菜の買い物プロジェクト」とは

私は新しいこのプロジェクトで、普段の買い物に、もっと幸せとか、ワクワクした感じとか、気づきとか、そういうものを新たに提供したいなと考えました。

以前、中之島でお買い物をした時のことです。
私は、中之島の直売所で出会った農家さんから野菜づくりのことを聞き、実際に畑に行かせてもらったりしました。そうして農家さんの思いやこだわりを直接「知る」ことで、その直売所でのお買い物がとっても楽しいものになったのです。
また、その直売所で一つ気づいたことがありました。それは、ただ野菜を並べているだけで、どんな人がどういうこだわりをもってその野菜を作っているのかが分からないのです。

中之島の野菜直売所 ふれあい市

中之島の野菜直売所 ふれあい市

私と同じような経験を他の人とも共有したいと思いました。
そのために、私がもっと中之島産の農産物の素晴らしさ、また農家さんの思いをもっと発信したい!楽しい買い物ができるような売り場をつくりたい!という気持ちが生まれました。
この気持ちをイナカレッジの方や柳屋の女将などに伝え、今回のプロジェクトが生まれたのです。

クラウドファンディングによる資金調達に挑戦!

前回と同じ中之島という地域で取り組む今回のプロジェクトメンバーは、私と同じ敬和学園大学の後輩阿部日加瑠さんを含めてインターンの大学生3人、柳屋の若女将、若女将と一緒に地元をもりあげる活動をしている渡辺さん、イナカレッジのコーディネーターの阿部さん、井上さんです。

地域の皆さまのお話を聞き、活動を共にしながらプロジェクトをすすめました

地域の皆さまのお話を聞き、活動を共にしながらプロジェクトをすすめました

 

このプロジェクトが今までと違うポイントが2つあります。一つはイナカレッジ史上初のOGによる企画であること、そしてもう一つは活動資金をクラウドファンディングで調達するということです。
私たちは、polca(ポルカ)というスマートフォンアプリを使って、地域の方たちから寄付を集めることにしました。polcaは、クラウドファンディング・サービスなどで知られている「CAMPFIRE」という会社がつくったアプリで、支援してもらいたいプロジェクトを、400字以内の文章と1枚の写真で紹介し、一口300円から資金を募ることができるものです。人生で初めてのクラウドファンディングに取り組む私にとって、手軽に始められるよいシステムでした。

クラウドファンディングによる資金調達に挑戦!

クラウドファンディングによる資金調達に挑戦!

目標金額は10万円、手探りでがんばってみたのですが、集まったのはその半分以下の47,200円でした。自分の思いが多くの人に伝わらなかった悔しさが残りました。
それでも、農家さんや中之島の役所の方、今までつながっていた地域の方々の協力のおかげで、地域の方々からの寄付で集まったお金は、ありがたいことに、polcaよりも多く集まりました。

 

今までバイトを通してお金を稼ぐというを経験していましたが、人からお金を集めるという経験は初めてでした。
自分がやりたいプロジェクトの目的や思いを人にどこまで理解してもらえるかが重要でした。そのためには、まず自分自身がプロジェクトの目的や思いを持ち続けて、人に伝えられるようにすることが大切だと思いました。
外部の人に発信して資金を募ることに対しては、まだまだ難しさを感じました。しかし一方で、応援してくださった知り合いの方や地域の方からの支援はとてもありがたいものでした。よそ者に対して温かい中之島の方々に、感謝の気持ちでいっぱいでした。

私たちをいつも温かく迎えてくれる中之島の皆さん

私たちをいつも温かく迎えてくれる中之島の皆さん

幸せは遠くにあるんじゃない、近くにある

私たちは、楽しいお買い物ができる野菜売場づくりとフリーペーパーによる情報発信に取り組みました。

プロジェクトの目的の1つ、野菜直売所のリニューアル

プロジェクトの目的の1つ、野菜直売所のリニューアル

 

フリーペーパー制作にあたっては、最初どのようなコンセプトにするか、誰に向けたものにするかなかなか決まりませんでした。メンバーで話し合った結果、コンセプトは、私が2年前に初めて中之島でインターンをした時に感じた「気づき」を大切にすることにしました。その気づきとは、「幸せは遠くにあるんじゃない、近くにある。」ということでした。

初めて中之島に行った当時の私は、大学2年生でした。自分の目指していた都会の大学に行けず、地元の大学に行く意味を見い出せませんでした。高校生の時には、「田舎=ダサい」と思ってしまっていました。だから、地元新潟に価値を感じていなかったのです。そんな気持ちで通っていた大学だったので、本気で辞めようと思っていました。

そして嫌なのは大学だけではありませんでした。当時は、自分の家にいると悲しくてつらい気持ちになることがたくさんありました。そんな時、私の姉が教えてくれた言葉がありました。それが、「幸せは遠くにあるんじゃない、近くにある。」でした。
その言葉の意味を中之島に行った時に、ようやく理解できました。中之島に来て、美味しい野菜を通して、こんなに美味しいものをつくる農家さんに感謝し、そんな農家さんのいる中之島に感謝できるような温かい気持ちが生まれ、日々の生活がなんだか幸せだなぁって思いました。自然や野菜、農家さん、地域の方々から愛情をいっぱいいただきました。そして、そのままの自分でもイキイキとできる場所があった!という喜びがありました。

中之島でキラキラした自分になることができました

中之島でキラキラした自分になることができました

一緒にプロジェクトに取り組んだ2人の笑顔

一緒にプロジェクトに取り組んだ2人の笑顔

モヤモヤした私の気持ちがスッキリと晴れて、キラキラした自分になれたのです。

思いを伝えることの難しさ

はじめて中之島に来てキラキラした自分になれたと思えてから2年が経ち、私はもう4年生になっていました。就職を考えなければいけない時期です。将来生きていくためには、一人で自立し、生活のためにお金を稼がなければなりません。

プロジェクトの方向性は固まり、フリーペーパーを通じて思いを伝えたいのに、正直、今の私は前のような気持ちを忘れてしまっていました。一人で生きていくことが思った以上に怖くて不安で押し潰れそうな、余裕のない気持ちになっているのだと気づきました。
そんな心境の中、2年前の気持ちを思い出して言葉にするには、時間がかかりました。
フリーペーパーの原稿を書いている時も、プロジェクトの資金集めをする際にも、このプロジェクトの目的や思いを伝えるためにはなんと言ったら伝わるのかとても考えました。言葉に迷うたびに、「2年前の自分って中之島のどんなところに感動したんだっけ?」「2年前はどんな気持ちでインターンに参加したんだっけ?」と何度も前の自分に問いかけました。
私にとって中之島はなんだったんだろう。と考える日々でした。

モヤモヤさんがキラキラさんに変われることを伝えたい!

モヤモヤさんがキラキラさんに変われることを伝えたい!

自分に問いかけ、見つけたこと

考えを巡らせる中で確実に言えることが一つありました。それは2年前に中之島で「とびきり居心地よい場所」を私が見つけたということでした。大学でもない、家でもない、もう一つの居場所でした。
2年ぶりに再会した中之島の方々は、私の名前を覚えてくれていたり、活動を褒めてくれたり、とても喜んでくれました。そして「若い子のチャレンジを見ると、私も何かやりたくなってうずうずしてくるよ。また中之島で何かやる時は、声かけてくれれば協力するよ。」と声をかけてくれました。

私の見つけたサードプレイス、中之島

私の見つけたサードプレイス、中之島

最近見つけた本で、『サードプレイス--コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」』があります。その本には、「人は家庭や職場(学校)から解放される場所がないと、孤独感から元気がなくなってしまい、生きていくことが困難になる。そして社会全体も暗くなってしまう。人が生き生きとするためにはそういう場所がなくてはならない」という内容が書いてありました。

2年前の私は、どうしようもない自分の環境から抜け出したくて、もがいていた時にイナカレッジを見つけました。
中之島でのインターンで自分を受け入れてもらった経験のおかげで、その後は、不思議なことに爆発的にいろいろことに興味を持ち、やる気が湧きはじめました。また、おしゃべりが好きすぎて我慢できない自分の性格を出せるようになり、多くの人とどんどんつながってていけるようになりました。思う存分いろいろな人に甘えさせてもらえる場所が中之島でした。

こうした思いを詰め込んだフリーペーパーができあがりました。資金が足りなくて発行部数は少なかったのですが、一人でも多くの人に読んでもらい、中之島にある幸せを感じて欲しいです。

フリーペーパー「なかのしま~私達が見つけた何だか幸せ!~」(pdf形式、9,587KB)

イナカレッジの経験を大学の学びにつなげる

中之島で自分の新しい居場所を見つけてから、大学生活もガラリと変わりました。地域に関連した授業やアクティブラーニングに興味を持つようになって、地域活動にも積極的になりました。
アクティブラーニング演習として参加した「酒育セミナー」では、田植えや稲刈りから座学まで、深く日本酒について学ぶことができましたし、「まちカフェ・りんく」の活動では広報を担当したり、他にも地域フォーラムやさまざまなイベントに参加するようになりました。

大学の授業で取り組んだ日本酒造り

大学の授業で取り組んだ日本酒造り

卒業論文では、イナカレッジでの体験から地域におけるサードプレイスについての研究に取り組みました。大学や地域で幅広くいろいろなことに触れてきましたが、この経験をただ「楽しかった」で終わりにせず、専門的な学びにつなげてまとめることができたと思います。

卒業論文タイトル『地域における「サードプレイス」の価値と可能性 -にいがたイナカレッジプロジェクトの体験から考える-』

たくさんの方に優しくしていただきお世話になった、私のサードプレイス「中之島」。
これからは、もうちょっと大人になって、中之島のために何かできる自分になりたいと思っています。

(国際文化学科4年 亀山咲)

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