キャンパス日誌

【卒業生リレーエッセイ46】~障がい者就労支援の現場で活躍する木津尚起さん~

当たり前の変化と価値観の形成

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2009年度卒業 木津尚起さん


学生生活での一番の思い出は、趙ゼミでの粟島合宿です。仲間数人で自転車を借りて島一周したのですが、コンビニやスーパーは見当たらず、あるのは海と山と家だけ。何もないと聞いてはいましたが、いざ体感してみると私の中にある「当たり前」の街並みのイメージが変化しました。私は島一周に夢中になり、途中で財布を落としたのですが、驚くことに村内放送で名前を呼ばれ、駐在所で財布が戻ってきました。現金は入ったままの状態でした。その時、島の一体感と村人のやさしさに触れた気がしました。そんな人たちのためになりたいとも思いました。過疎化、高齢化と言葉で聞くことはあっても、感情までは動きません。私は粟島で、体感することでしか生まれない感情があることを知りました。
私は現在、特定非営利活動法人あおぞらという団体で障がい者就労支援の現場で働いています。将来、働くならば人の役に立ちたいという気持ちを持って生きてきて、共生社会学科というワードに惹かれて敬和学園大学に入学し、そこでリベラルアーツの幅広い学びを体感することで私の感情が動きました。視野が広がり、周りに流されない価値観を身につけることができました。そこでつかんだ「障がい者と健常者と呼ばれる社会を変えたい」という思いから、障がいを持った人と一緒に「働く」の新しい形を探しています。一人の人間として当たり前に生きることの価値を共有したいのです。

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化粧品パッケージへのスタンプを指導する木津さん


障がいを持った人たちと一緒に、変化を楽しみ新しい未来を創ることに人生を使いたいと思えたのも、敬和学園大学との出合いがあったからだと思います。学びのシステムもそうですが、さまざまな個性をもった先生方がいて、学生とほどよい距離感で応援してくれる温かい敬和学園大学の環境が一番の魅力だと今でも思っています。(2009年度卒業 木津尚起さん)