チャペルのひびき

悪と愛

姜尚中先生(東京大学名誉教授)をお迎えして、創立25周年記念新入生歓迎学術講演会を、チャペル・アッセンブリ・アワーの時間を用いて開催できたことは大きな喜びでした。『悪と愛について』と題されたご講演は、出席した新入生一人一人の心に奥底まで届く感銘深きものであったと思います。青春期に与えられる、家族とは関係のない第三者による承認(友愛に代表される)が、どれほど、その人の人生を支え、方向づけるにあたって大切であるのかを、ご自身の若いころの経験をまじえてお話しくださいました。理由は定かではないが、自らに向けられる肯定的な眼差しと呼びかけ(すなわち愛)こそが、この見通し暗き世にあっても、この世界を肯定しながら、人を愛しながら生きる力となりうる。そのようにして世を照らす光として生きることが可能とされてゆく。しかし、この肯定的な眼差し(承認)が与えられないところでは、人のこころは荒廃し、そこに悪が生まれてくるとの深い洞察をも重ねてお示しくださいました。主イエスを通して一人一人の人間に与えられる神の深き承認(愛)を伝えることをその教育の根底に持つ本学にとっても、改めてその存在意義を確認することのできた貴重な時間でありました。

講演 新入生歓迎公開学術講演会「悪と愛について」 東京大学名誉教授 姜 尚中 先生
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〈参加学生の感想〉
感想1)姜尚中先生の講話を聞いて、人が生きていくには、他者から認めてもらうという『愛』が必要だということを知りました。人が生きていく上で他者との関係が自分を成長させ、豊かにしていくのだと感じました。このことはとても大切なことだと分かりました。
感想2)「愛と悪について」というテーマで、今日を生きる人々の中には愛に満たされない人も少なからず居り、無条件に自分を認めてくれる「友」という存在がとても大切で、価値で計ることすらできない十問い存在だということに気付かされました。
感想3)「19世紀末の格差が大きかったじだいへともどりつつある。」この言葉を聞いた時、最近の世の中に広がってきている格差の意味が分かった。他人の不幸を自分の幸福に感じてしまうのは本能だと姜先生はおっしゃっていた。もし今のように格差が広がって行ったら、私も本能に従ってしまうのか不安になる。姜先生のように広い視野と世の中をしっかり見つめる目を持つための努力をしようと感じた。