チャペルのひびき

現在と未来を照らす過去からの光

藤野豊先生より、研究の対象とされておられる小笠原登医師と戸田八重子看護師についてお話を伺いました。小笠原医師は、国策とされていたハンセン病患者の隔離政策に抗して治る病者として患者さんたちの治療にあたられた方、戸田看護師はその勇気ある行為を側面から支えられた方であったと教えられました。仏教にキリスト教とそれぞれ属する宗教は異なるも、不当な苦しみを強いられている方々の人としての尊厳を守るために心を一つにして尽くされたお二人のお働きは私たちにも大きな指針となるでしょう。アッセンブリ・アワーにおいては、「写真の町シバタ」の伊藤知明さんが「ハワイの家族」との題のもと、ご一族の歴史についてご講演くださいました。海を隔てて二つに分断されてしまった家族が、伊藤さんの粘り強い探索を通して、長い時を経たのちに、一つの家族としての絆を確認することができたという、感動的な物語でした。過去に生きた人たちと真摯に向き合うことを通して、現在と未来に思いがけぬ光のもたらされることのあることを、C.A.Hの二つのお話しは豊かに伝えてくれています。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「戦火の中の燈 ~小笠原登と戸田八重子」 教授 藤野豊 先生
20151016チャペル・アッセンブリ・アワー1

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 「ハワイの家族」 写真の町シバタ 伊藤知明 先生
20151016チャペル・アッセンブリ・アワー2

<参加学生の感想>
感想1) ハンセン病は本やマンガで読んでいると治せる病だと思っていましたが、戦前は不治の病だとされていたことに驚きました。「治せる病気だ」と証明するために努力し続けた小笠原先生と戸田さんは宗教を越えて協力していきました。私はキリスト教に属していませんが、彼らのように違う宗教の者同士でも協力し合える関係を築いていきたいと思いました。
感想2) スライドショーで映された写真1枚1枚に込められた意図を語られた伊藤先生は本当に写真が好きなんだと思いました。今履修している地域学入門につなげていきたいと感じました。途中で映されたタカハシファミリーツリーについて、驚きとともに血筋はこのようにずっとつながっているんだと感動しました。当時について語る伊藤先生のお話から当時の状況を知ることができたかと思います。このようにたくさんのことを知るには自分で調べるだけでなく、そのことについてたくさんの経験をしている人に尋ねることも大切だと改めて実感しました。
感想3) 伊藤先生の話を聞き、写真というものは当時のことを思い出させてくれるし、人と人をつなぐものだと感じました。離れ離れで生きていても何十年後かに必ず会えて、家族写真を撮ることができたということは奇跡的だと感じました。1枚の写真から考えを深められるということに改めて気がつきました。地域学入門のフォトウォークがとても楽しみです。ありがとうございました。
感想4) 初めて小笠原登という人を知った。戦前に政府に逆らってまで人権を守ろうとした姿にとても驚き、感動した。多くの人が間違えてしまっても、必ず正しいことをやる、できる人がいつの時代にもいるのだと感じた。私は正しいことをできる人になりたいが、そう簡単なことではないと思う。なので、せめて間違っていることを間違っている、正しいことは正しいと思える人になるところから始めたい。