チャペルのひびき

神の前にはすべての人は等しい

藤野豊先生が、ご自分のお関わりになられたハンセン病をめぐる二つの訴訟のお話をしてくださいました。お話を通して、ハンセン病が、またそれに対する偏見や差別、更にはそれらを助長するような仕方で遂行されていった国策が、病気になられたご本人ばかりでなく、そのご家族をもひどく苦しめるものであったことを深く教えられました。今、係争中の裁判において、藤野先生が支援なさろうとしておられる方は、人間的に見れば多くの問題を抱えておられ、どちらかといえば大勢の人の共感を得にくいタイプの方であられるとのこと。それにもかかわらず、「人格や経歴によらず、すべての人は神の前に等しい」と信じるがゆえに、その方の支援に立たれる先生のお姿に敬意を覚えます。引き続いてもたれたアッセンブリ・アワーでは、アメリカからお招きしたPatty Kunze Tatum & Bob Tatum先生ご夫妻のデュオ・パフォーマンスを通して、アメリカン・フォーク・ミュージックの歴史について学ぶ機会が与えられました。黒人霊歌やケルト音楽、ウディ・ガスリー、ハンク・ウィリアムス、エルビス・プレスリー等の楽曲を息の合った演奏と素晴らしいハーモニーで聞かせてくださったご夫妻に感謝いたします。お二人のパフォーマンスを聴きながら、アメリカという国が、さまざまな文化的バックグラウンドを持った人々により形成された国であることを改めて思わされました。この豊かさのもとなる多様性が損なわれぬことを心から願います。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「熊本から鳥取へ“いのち”を問う」 教授 藤野豊 先生
20161104チャペル・アッセンブリ・アワー1

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 「American Folk Music : Across Cultures and Through the Ages」 Sound Traveler Band Patty Kunze Tatum & Bob Tatum
20161104チャペル・アッセンブリ・アワー2

<参加学生の感想>
感想1) ハンセン病被害者による裁判を前線で戦っている藤野先生はすごいと思いました。先生が話されたことの半分も知らなかった私ですが、話を聞いてみて今回の裁判やハンセン病のことについて関心を持つことができました。また先生が仰った命は平等という言葉、私もその通りだと思いますし、その通りであって欲しいと思っています。しかし現実はそうではない現状であることも分かっています。なので、そんな世界は私たちの望んでいる世界ではないはずです。その世界を少しでも平等に正しくしようとしている先生などの活動家のお話が身近で聞ける私たちは幸運ですし、その話を少しでも学びにしたいです。
感想2) 自分の意思で「この人の弁護するのは、嫌だなと思っても、その人だって法の下では皆平等だからきちんと弁護する。」というのがとても響きました。どんなに悪いことや犯罪を犯していても私と他とは平等に、守られるべきなんだと思いました。命とは平等であり、大切に守っていこうと思います。
感想3) PattyさんとBobさんがとても楽しそうに生き生きと歌い、演奏しているのが印象に残りました。自分の出身国アメリカの文化や音楽をとても大切にしていて、これからも伝えていって欲しいと思いました。私も日本文化が美しいと思い返せたし、大切に後世へと伝えていくべきものだと思いました。フォークもゴスペルも明るい曲調が多くてとても楽しめました。
感想4) PattyさんとBobさんが2曲目に演奏したアメイジンググレイスはよく聞いていた曲だったのでとても感動しました。その有名な曲を美しい音色で鮮やかに演奏されていて素晴らしかったです。どの曲も素晴らしく、聞いて心が癒されました。もっとたくさん2人の演奏する曲が聞きたいなとも思いました。日本人の曲もよいが、文化も国籍も違う人たちが演奏する曲は日本人のものと違う魅力を感じました。Jazzに対してもこの機会を通して興味を持つことができました。