チャペルのひびき

言葉の重み

金山愛子先生が、安積力也先生(元独立学園校長)、清水眞砂子先生(児童文学研究家・翻訳者)といった方々とつい最近、持たれた至福のひと時について、お話しくださいました。安積力也先生の「翻訳とは何ですか?」との質問に清水先生がお答えになられた「横のものをただ縦に直すのではない。翻訳とは表現です」との言葉が印象に残りました。体験と言葉は不可分であること。昔、お世話になった児童書出版社の編集長さんが、「翻訳には、訳者のそれまで生きた人生、時間の重みのすべてがすべて現れてくるんだよ」と言われたことを思い起こしました。翻訳とは、原作にもう一つの命を与える愛の業だとも今は思います。自分の培ってきたありったけのことを用いて、他者を生かしてゆくこと、他者の命を輝かしてゆくこととして捉え直せば、このことはすべての人に当てはまることと思います。アッセンブリ・アワーでは、広島女学院大学主催の平和学習プログラムに参加した二人の学生(渡邉瞳さん、井口望都さん)が、そこでの体験と学びの報告をしてくださいました。一筋縄ではいかない核をめぐる問題に対して、今も終わらぬ「広島」の問題を心に刻みながら、考え続けることの大切さを教えられました。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「言葉と経験と愛について」 教授 金山愛子 先生
20171013チャペル・アッセンブリ・アワー1

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 「キリスト教主義大学ジョイント 8.6平和学習プログラム報告」 国際文化学科2年 渡邉瞳 さん、国際文化学科1年 井口望都 さん
20171013チャペル・アッセンブリ・アワー2
 
<参加学生の感想>
感想1) 金山先生のお話に出てきた「翻訳とは、ただ横文字の文を縦文字に訳すことではない。自分の経験を元に言葉を訳すことだ」という言葉が印象に残った。私たちは言葉の本質を分かっているようで分かっていないのだ。だから経験を積めば積むほど表現力が豊かになる。「偽善に思われないか」などとは考えずに、とにかく気になることや興味のあることはやってみよう。「愛は経験」この言葉が強く心に残る。
感想2) 実際に原爆の被害を受けた人からお話をきくことができるのは、私たちの世代が最後ではないかという井口さんの言葉に共感した。原爆被害の苦しさ、つらさ、悔しさ、悲しさを後の世代に伝えていかなければいけないと思います。平和記念館・原爆ドームなど原爆の悲惨さを伝える史跡資料は残すべきだ。みんなが平和を願っているはずなのに、戦争という恐怖が昔からずっとあることがとても悲しい。こうした平和学習プログラムに参加することで、平和について改めて考えさせられるよい機会である。