チャペルのひびき

写真の力

田中利光先生が旧約聖書の「申命記」の言葉をとおして、神の御心ついて丁寧に説き明かしてくださいました。すべての人は神により生かされていること、神の前にはすべての人は平等であり、分け隔てなくその祝福にあずかる者とされていることを改めて心に刻むことができました。実際には、この世界においては命の尊厳が踏みにじられるとともに、神の御心にかなうかかる平等が実現されておらず、そうであるがゆえの敬和学園大学に属するものとしての責任を教えられた時間でした。アッセンブリ・アワーにおいては、立木さとみ先生(立木写真館常務取締役)が、ご自身が体験されたことをもとに「111年の時を超えて~ロシア兵俘虜の写真から見る日露友好の記憶」という題にて素晴らしい講演をしてくださいました。遥か昔に撮られた一枚の写真をとおして、さまざまな過去の記憶が呼び覚まされ、歴史の事実が明らかにされてゆく、(またその過程において、新たな思いがけない人と人との出会いと絆を生み出しながら)そのスリリングなプロセスに心奪われました。写真が伝える、戦争中にもかかわらず敵国の人との間に結ばれた友好の事実。この事実は、時空を超えて今もなお争いと緊張の中にある社会と世界へと尊いメッセージを伝えています。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「あなたの初穂を献げよ」 准教授 田中利光 先生
20171117チャペル・アッセンブリ・アワー1

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 「111年の時を超えて ~ロシア兵俘虜の写真から見る日露友好の記憶」 株式会社立木写真館常務取締役 立木さとみ 先生
20171117チャペル・アッセンブリ・アワー2
 
<参加学生の感想>
感想1) 収穫を感謝する時、誰に感謝すべきなのかは、人でも自然でもなく神であるという田中先生の言葉が印象に残りました。神の前では立場や身分などは関係ないのです。誰もが分け隔てなく、平等に神から祝福を受けることができる。「人は神によって生かされている」ということを知るべきです、という田中先生の言葉が強く心に残ります。
感想2) 収穫とは決して物理的に地に実を結ぶのではなく、自分の心にも種をまき、しっかりと育てて、将来的に立派なものを収穫する。キリスト教においての収穫とは、いろいろな意味があるのだと知りました。
感想3) 徳島の写真館のお話を聞いて、写真を撮っていくことで‟歴史が残せたり、出会いが広がったりしていく”ことができると思った。今回の話に出てきた日露戦争の時に撮られた写真が今になってその子孫とつながって出会うのがすごく素敵でびっくりした。昔の写真から今どのようになっているのか特定できるのはとてもすごいと思った。当時のロシアの俘虜(捕虜)は、実は自由に歩いたり、日本人と親しくしていたり、戦時中であっても深い交流があったことが111年前の写真で明らかにされ、その当時の実際の現場のことが分かるのもすごい。出会いの奇跡もあって心に残る講演でした。
感想4) (株)立木写真館の立木先生のお話で、写真の素晴らしいところは自分が実際にあったことのないひいお爺さんやお父さんの子どものころに会えること、とおっしゃっていました。私も自分が生まれてすぐに亡くなってしまったひいお爺さんに会えるんだと思い、写真を探してみようと思いました。時間を超えて昔の写真と同じように写真を撮るのは素敵だと感じます。写真から分かる歴史や自分自身の家の昔のことを知ることができるのはとても興味が湧くし、きっと新しい発見ができると思います。
感想5) 立木先生の言っていた写真のすごいところは、今はすでに亡くなっている人を目で見ることができたり、自分の父親の小さい時を見ることができたりすることだと感じました。写真を撮った人と撮られた人が111年の時を超えて出会うなんて奇跡以外のなにものでもないと感じました。