チャペルのひびき

一つひとつの命が尊ばれる未来に向けて

チャペル・アッセンブリ・アワーにおいて、藤野豊先生(本学国際文化学科教授)が、すぐる10月27日(日)に「りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)」にて開催された、混声合唱組曲「悪魔の飽食」・新潟公演の様子とその意義について、実行委員長の大役を務められたお立場からお話しくださいました。『悪魔の飽食』とは、かつて中国のハルビン市の郊外に日本帝国陸軍・関東軍の731部隊が行っていた戦争犯罪の実態について、ミステリー作家の森村誠一氏が克明な調査のもとに記したノンフィクション。その本には、731部隊が、中国人をはじめとする多くの外国人に対して、生体解剖までも含む人体実験を繰り返したことが記されています。今回の組曲は、森村氏ご自身が、その本に込められた思いを歌詞のかたちに結晶させ、それに著名な作曲家の池辺晋一郎氏が曲をつけたもの。その作品には、生身の人間をマルタとしてしか扱わないおぞましき実験の実態と共に、そのような仕方で命を失っていった一人ひとりの人間にも確かな人生があったこと、さらには、闇の現実のただ中に未来の光を希求する願いが見事に表されています。コンサートの報告に先立ち、藤野先生は、今回のC.A.H.のためにお選びになられたマタイ福音書の聖句(主イエスの言葉)に触れられました。そして、ご自身がまだ小さかったころ、教会の牧師先生がこの聖句を用いながら、「神さまはどんな小さな命をも心にかけていてくださる。神さまにとって大切でない命(人間)はいないんだよ」と教えられたこと、そしてそれが深く心に刻みつけられたことを語られました。先生のお仕事(今回の実行委員長としてのお働きも含めて)の原点が、聖書に記された神の言葉にあることを改めて教えられました。キリスト教精神に立ちつつ、平和を創り出す人間の育成をその教育の柱に掲げる本学にて、学ぶ(教える)ことの意義と幸いを改めて深く心に留めたいと思います。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アッセンブリ・アワー 
説教 「悪魔の飽食コンサートの実行委員長をなぜ引きうけたのか~研究室から街頭へ~」 教授 藤野豊 先生
20191108チャペル・アッセンブリ・アワー1

<参加学生の感想>
感想1) 実行委員長を努められた藤野先生、1年という長い準備期間お疲れさまでした。本番の大成功という結果は藤野先生の「戦争を忘れてはいけない、平和をつくろう」という強い思いがもたらしたものだと思います。事実を書いた原詩と暗い曲調の重圧のある伴奏が合わさると、731部隊の犯した戦争犯罪の惨虐さがダイレクトに伝わってきて、心が痛いです。
感想2) 藤野先生のお話を聞いて、自分がどれだけ戦争について知らないか実感しました。戦時中に日本がどんなことをしていたのか全く知りませんでした。今の日本の教育では731部隊などの日本の暗い面がほとんど教えられていないことが、戦争を知らない若者をつくっている一因ではないかと感じました。戦争を知る方法は多くあると思います。
感想3) 藤野先生の人権尊重の考えの原点が聖書であることを知り、聖書がいかに人の人生観に影響を与えるものなのかということを再認識しました。