チャペルのひびき

忘却にあらがって

チャペル・アワーは、益谷真先生(英語文化コミュニケーション学科教授)から、フィリピの信徒への手紙を基に、「喜ぶこと」との題のもと、豊かなメッセージをいただくことができました。その中で、先生は、お父さまたちとイスラエル共和国とその周辺を巡られた貴重なご旅行について、スライドを用いながら、お話しくださいました。その旅行の際に先生が出会われた「記憶は、贖いの秘密である(Remembrance is a secret of redemption.)」とのユダヤ人の方々が大切にしている言葉が、とりわけ心に残りました。記憶していること(心に留めること)は、先生が語られたように、私たち一人ひとりの人間存在の根幹を構成することであり、また、一つの国の未来に向けての歩みにとっても、大切なものでしょう。現在の日本も、かつて踏み込んでしまったような悲惨な戦争を二度と繰り返すまいとの決意のもと、平和をいただく日本国憲法のもとに歩んできました。しかしながら、現在は、過去(戦争の悲惨な記憶)の忘却を伴いつつ、その憲法を変えようとの動きが日増しに強くなってきているようにも思います。そのような傾向に対する深い危惧のもと、引き続く、アッセンブリ・アワーにおいては、大西しげ子先生(日本友和会・新潟聖書研究会会員)が、人類の未来を先取りしたともいえる日本国憲法の持つ根本的意義について、また、その心が聖書に証しされた主「平和をつくりだす者は幸いである」とのイエスの教えとも深く結びついていることを教えてくださいました。私たち一人ひとりが、過去を心に留めつつ、未来に向かって平和をつくりだしてゆく者となりたいと思います。(下田尾 治郎)

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「喜ぶこと」 教授 益谷真 先生
20200117チャペル・アッセンブリ・アワー1

Ⅱ.アッセンブリ・アワー
講話 「日本国憲法とイエスの平和」 日本友和会 新潟聖書研究会会員 大西しげ子 先生
20200117チャペル・アッセンブリ・アワー2

<参加学生の感想>
感想1) 益谷先生の「喜ぶこと」のお話を聞いて、一度しかない人生を楽しみ、喜びを得るということを学びました。記憶から教訓を得る、記憶は体験・経験から学ぶ、記憶は人格と人生の源であることを教えていただきました。大西先生のお話を聞いて、平和とは改めて何なのかについて考えさせられました。人が幸せに生きることが平和だと思います。日本も戦争を経験しています。尊い命が失われました。日本は二度と戦争を起こしてはいけないといわれますが、全員が思っているわけではありません。先日アフガニスタンで亡くなった中村医師が、自衛隊は有害無益との発言にヤジが飛び、言い直しを求める声が聞こえたことに驚きました。改めて戦争より恐ろしいものはないと実感しました。
感想2) 益谷先生のお話を聞いて、よい経験だけでなく、嫌だった経験からも学ぶことがあるのだと再認識できました。嫌な経験は心に留めておきたくないけれど、そこから学ぶこともあるので、貴重な体験として心に留めておくべきだと思いました。普段生活をしていて、憲法を気にしたことはごくわずかでした。大西先生のお話を聞いて、憲法を自分の生活に取り入れることによって人生が大きく変わるのだと知りました。憲法をよく知ると身近に憲法違反が多くありそうだと思いました。
感想3) 今日のアッセンブリ・アワーでは、日本国憲法を通して、イエスにとっての平和とは何かについて学んだ。日本にいる私たちは遠いかなたで紛争が起きているニュースを客観視してしまいがちですが、憲法9条によって、そのような争いから守られていることを大西先生のお話を通して知りました。イエスさまにとって平和とは、「愛」であることも学びました。なぜ戦争を後押しするようなことを起こすのか、同じ人間であるのに。改憲の裏には、権力者の陰謀が含まれていることを実際に知って、事実の裏まで考えを深めることが必要だと感じた。