学長室だより

2001年9月28日号

いよいよ後期の授業が始まりました。この夏休み、諸君はどのように生きてきましたか。
誰の心にも、9月11日に起こった同時多発テロの衝撃が強烈なかたちで残っていることでしょう。なぜあのようなことが起こり得たのか。これを世界史の視点から調べてみることが必要です。ぼくはあの出来事に幾分か「日本の罪」を感じてなりません。特攻隊の自爆作戦というのは、太平洋戦争後期に日本が選び取った方法でした。日本でもその時戦っているのは聖戦であると教えられたのでした。しかし今度の事件は、民間機を乗っ取って、民間人を無差別に巻き込みつつ、爆撃機以上の効果を上げるという、類例をみない方法でした。アメリカ政府は報復を宣言しました。しかし、報復ははたして可能でしょうか?報復は問題を解決するでしょうか?正義は首尾一貫して追求していくと不正義に変わる、と神学者ニーバーは説きました。これこそ味わうべき言葉です。(北垣 宗治)