学長室だより

2001年12月7日号

昨年10月28日に敬和学園大学は創立十周年を記念して小和田恆・前国連大使とドナルド・キーン教授に名誉学位を贈呈し、記念講演をして頂きました。小和田博士は「世界の中の日本」という題のもとに、現在の日本が直面している三つのチャレンジとして、①冷戦構造の終焉、②和魂洋才主義の歪み、③グローバリゼーションを挙げて精緻な論旨を展開し、聴衆に深い感銘を与えました。博士は和魂洋才主義の問題点を論じるにあたり福沢諭吉や夏目漱石を引用されましたが、新島襄こそが問題の核心を把握していたのではないか、と僕は思いました。小和田先生は新潟県新発田市清水谷の生まれです。本年4月の十周年記念式典に出席された先生は、祝辞の中で、「今日の日本は精神の危機に直面しています。日本人がこれまでの道を謙虚に反省して、何を改善しなければならないのか考えてみる時期にきています。最も大切なことは一人ひとりの魂を養い、精神を強靱なものとし、開かれた心を持つ人間を作ることです」と訴えられました。(北垣 宗治)