学長室だより

2002年5月24日号

国際会議を開催してみていちばん困ることは、外国からの参加者の時間観念が日本人のそれと大いに異なることです。先週国連大学を会場として第10回国際哲学オリンピアード(IPO)を開催しました。英文のスケジュール表ははじめに渡してあるのですが、会議の始まる時間になっても外国の参加者がなかなか集まらない。会議が半分以上終わったところでやっと会場に入ってくる人もいる。宿舎から会場までバスの準備をしたのですが、寝坊してバスに乗り遅れた人々が続出しました。講演者の一人、小和田恆前国連大使に感想を聞くと、「今日の会などはまだましですよ。私なんかもっともっとひどいケースをいくらも経験しています」と慰められました。しかし翻って思えば、日本人は逆に時間に縛られ、時間の奴隷となって生きているともいえます。時間を超越して生きることの方が本当の幸福なのだと、ぼくの内部で囁くものがあることもまた事実です。(北垣 宗治)