学長室だより

2003年1月17日号

1月7日に東京でドナルド・キーン先生(本学の名誉文化博士)の文化功労賞と毎日出版文化賞の受賞を祝う会が開催され、出席しました。挨拶の中でキーンさんは出会いの不思議さを強調しました。アメリカ海軍の日本語学校で出会ったケーリ氏と親友になり、彼のおかげで京都留学中に奥村家に下宿し、同じ家に下宿していた永井道雄氏(もと文部大臣)と親友になり、永井氏の幼稚園以来の友達、嶋中雄二氏(もと中央公論社社長)のおかげで、永井荷風や谷崎潤一郎に紹介された。日本文学者として、非常に幸運な生涯だったといえる。いまや自分は「日本文学、日本文化の宣教師」としてのミッションを自覚しており、余生をそのミッションにささげたいと思っている、という内容でした。ぼくは当日集まった人々の中でいちばん古くからの友人であることをあらためて認識し、自分は何に余生をささげようとしているのかを、改めて考えさせられました。(北垣 宗治)