学長室だより

2003年5月23日号

学長に就任したあと、各地からお祝いが届きました。ある奥地からはお米が、ある山村からは卵が、などなど。お便りも数多くにのぼりました。「花春ノ佳候・ ・ ・
就任ヲ衷心ヨリ悦ビイタシ 祝賀イタシマス。主恩中、愈々御發展、御清寧ヲ祈願イタシマス」― 極上の見事なカードに、この文が直筆でしたためられていました。韓国からの航空便でした。このカードを眺めているときに、ふと思い出したことがあります。それは、もう13年も前のこと、昭和天皇の逝去のおりに、この方がいち早く(そのときも航空便で)お悔やみのお便りをくださったことです。天皇ヒロヒトの死を、韓国人として悔やんでいいのか?と、私は内心考えたことでした。私はこの方に害の及ぶのを恐れて、お名前を出したことはありません。(名のある方なのです。)ひとりのキリスト者として、天地の創造主の存在を前にして、国境をこえる兄弟愛を示してくださったのです。
もう20年ほど前に、東京・池袋のホテルで、生涯一度しかお会いしていない方なのですが。(新井 明)