学長室だより

2004年2月27日号

ロータリー・クラブでは毎週、その道の識者を招いて「卓話」というものの時間(30分)を設ける。「卓話」という語そのもが日本語に定着しているか、どうか知らないが、おそらく英語の“table talk”の訳語なのであろう。
その係りの方から、敬和学園大学の北嶋藤郷教授に良寛の話をしていただきたいのだが、という相談があったのは、昨秋のことであった。9月21日に新潟でおこなわれた「新潟の文化を考えるフォーラム」で中野幸次氏と行なった良寛論が好評で、北嶋先生には新発田でも、お話を伺いたいという希望が寄せられていた。それがこの2月16日に実現した。
「嚢中 三升の米 炉辺 一束の薪。」 「往来の跡幽(かす)かなり 深夜の雪。」
北嶋先生が良寛の漢詩を朗誦し、やわらかな解説をほどこされる時間は、この殺伐たる世間と、多忙な時間とを、はるか超越していた。それは、いわば、あの「草庵」の時をかいまみることのできる一瞬であった。(新井 明)