学長室だより

2004年12月17日号

キリスト教国ではクリスマス前の4週間をアドヴェント(待降節)とよんでいる。今が、ちょうどその時期なのだ。
そもそもローマ帝政時代に、皇帝などの支配者が戦いに勝って、騎馬姿で町に戻ってくるときの入城式をアドウェントゥスといった。しかし、イエスのエルサレム入城は、そんな勇ましい姿ではなかった。かれが乗っていたのは、戦いなどとは無関係のロバの子であった。そのイエスにたいして、弟子たちの群れは「祝福あれ。主の御名によって来られる王に」と叫んだという(ルカ福音書20章30-38節)。
降誕節は年一度のことである。しかし、年一度とはいえ、人間は2千年間、イエスのこの低い姿を想起しつつ、来た。それが歴史をつくってきたのである。(新井 明)