学長室だより

2006年12月15日号

新発田はおもしろい町だ。ほんとうは相当の文化的蓄積があるのに、この地で育った皆さんは、そのことをご存じない。あんがい自信をもっていない。市の責任者の口から、「新発田は村上に負けた」などという告白がこぼれる。だからこそ、研究者の立場としては、この土地が内蔵する価値を引き出して、古きこの町に貢献しようという気持ちになる。
市の中心部の閉店した店舗を使って、敬和学園大学の活動拠点としてもらえないか、という申し出が (市と商工会議所側から) あったのは、昨年のことである。閉ざされた店舗をいくつか歩いてみた。けっきょく万町 (よろずちょう) の空き店舗に決した。夏まえから内装工事にかかり、この11月29日に「新発田学研究センター」の開所式にこぎつけた。ここを中心にして、研究事業、教育事業を進め、それをとおして商店街の活性化に役立つことができれば幸いである。土地に住む方がたの力が研究に役立つ。小さな大学である敬和は一歩一歩、アリのごとくに進んで行く。新発田を掘り起こしながら、新しい学園、新しい世代の育成をめざしてゆく。(新井 明)