学長室だより

2007年6月1日号

湛江は二度目である。一昨年の11月にこの地の師範大学と「教育・学術に関する協定書」に署名した。今回は昨秋、日本学科が新設され、その記念の「文化講演会」に招かれたもの。5月8日はその一連の行事に丸一日が費やされた。北嶋藤郷教授の「『唐詩選』・『史記』を典故とした日本の俳句について」が中心。たとえば芭蕉の名作「此道(このみち)や行人(ゆくひと)なしに秋の暮」にしてみても、唐の詩人・耿湋(こうい)の作「秋日」の一節「古道少人行」(古道に人の行くこと少なし)の響きを伝える、と説かれる。日本の古典の、さらにその奥に中国の古典がある。「この国の若者よ、自信をもて!信頼し合おう!」と北嶋大人は励ましたのだ。招聘教授・加藤僖一先生が同席されたのは、われわれ訪問団にとって光栄なことであった。山田耕太教授と房文慧教授の敬和学園大学紹介も強烈であり、この夏もなん人かが新発田に来ることであろう。聴衆のなかに劉多嘉さんと彭文捷さんの顔があった。昨夏、敬和での研修を終えて、母国へと去るとき、二人が学長室で手渡してくれたカードを一同に掲げて見せた。湛江訪問は陳俊英女史を主任とする日本語学科全体を、さらには程可拉学長をも、大いに励ましたことであろう。湛江と敬和の心は通っている。(新井 明)