学長室だより

2015年度前期卒業式式辞(山田耕太学長)

20150916前期卒業式

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。見事に卒業要件を満たして、「大学卒業」に至りました。おめでとう。前期末に卒業したからと言って、決して恥じることはありません。このように言う私も、大学も大学院も人より遅れて卒業しました。それは大学時代も大学院時代も人とは違った歩みをしていたからでしたが、卒業に際しては改めて人とは違った道を歩んでいくのだという自覚と覚悟を強めました。皆さんも人とは違ったあなたにしかできない自分らしい生き方をしていただきたいと思います。

大学卒業は終わりではありません。始まりです。英語では「卒業式」を“graduation” と言います。「学位」という“grade”が与えられることを意味します。また、“commencement”とも言います。すなわち“con”「共に」“initiate”「始める」ことを意味します。それでは何を始めるのでしょうか。大学卒業は二つの「始まり」を意味します。

第一に、経済的自立の「始まり」を意味します。簡単に言えば、就職して、給料を得て、経済的に親から独立することを意味します。自分に合った職業を得るのは生易しいことではありません。まだ内定を得ていない人がいたら、大学のキャリアサポート課を卒業しても利用してください。授業料はそこまで入っていると思ってください。また得た職業を続けていくのは、さらに生易しいことではありません。「石の上にも三年」と言いますが、仕事を覚え、忍耐し、辛抱する必要があります。職場の人間関係で悩むことも多々あると思います。それらを越えて仕事をこなしていかなければなりません。万が一にも転職ということがあるかも知れませんが、20代の後半までには自分に合った定職を得ていたいものです。転職すれば必ずしも条件がよくなるとは限らないことがあることも念頭に入れておく必要があります。何年か経って仕事が好きになり、楽しくなってきたら、それはしめたものです。やがて30代40代で生きがいを感じるようになってきたら、それは天職です。そのようになっていくためには、学び続ける必要があります。

第二に、生涯学習の「始まり」を意味します。大学教育を受けた人は、講義や演習を通して、また試験やレポートを通して、自分で学ぶ方法を身につけてきたはずです。つまり生涯学び続ける方法を身につけたのです。大学を卒業した後の学びは、必ずしも学校教育のような教科書や試験などのある学びではないかも知れません。自分の職業に密接に関係したことや顧客に関係したことかも知れません。大学は演習やクラブ活動などで切磋琢磨する共同学習の面もありますが、自分で自分を教える自己教育が基本です。大学を卒業したら、さらに自己教育に徹しましょう。しかし、何であれ一生学び続けていくことが必要です。人がやっていないある分野のことを10年工夫して学び続ければ、その分野では一角の人になります。20年続けて学び続ければその分野の第一人者になります。継続は力です。楽しみながら学び続けましょう。

皆さんが大学を巣立っていくはなむけに、一つの言葉を送ります。

「あなたがたの中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、
 いちばん上になりたい者は、すべての人の僕になりなさい。」(マルコ福音書10:42-43)

皆に仕えてサービスする人が人々の信頼を得て、リーダーになるという「サーバント・リーダーシップ」を述べた箇所です。これは2000年前にイエスが弟子たちに語った言葉ですが、現代社会の中でも通じることであると思います。どこでどのような職に就こうとも、どのような人々にもサービスをすることを心がけましょう。 
 
皆さんお一人おひとりの生涯が祝され、幸せな人生を送られることをお祈りいたします。

2015年9月16日
敬和学園大学長 山田耕太