神を敬い、人に仕える(4代目学長 山田耕太)

第26回卒業式式辞[2020-03-19]

20200319卒業式3

 

卒業生の皆さん、保護者の皆さん、大学ご卒業おめでとうございます。今日は皆さんの門出を祝すかのような久しぶりの雲一つない日本晴れです。キャンパスでは2本の寒緋桜が咲いています。今年は新型コロナウイルスの世界的な流行のために、3月2日から日本全国の小・中・高校が休校に入り、さまざまなイベントが中止や延期になっている中で、卒業式も中止にしている大学が数多くあります。私たちは一人ひとりの存在を大切にする大学として、また地方にある小規模の大学として、このような状況の中でも、新型コロナウイルスに対して万全の対策を取って卒業式を行うことを決めました。そこで、本学は従来から入学式は新発田市民文化会館で、卒業式は聖籠町町民文化会館で行ってきましたが、両方とも大学の体育館に会場を移し、しかも来賓の方々を招かずに大学関係者だけで、従来とは違って極めて簡素な形で式を挙げることにしました。大学体育館で卒業式を挙げるのは、9年前の東日本大震災の時以来の2度目となります。

それでは大学の卒業式とは何なのでしょうか。もちろん大学での4年間の学びの修了を祝う式典です。小学校以来の16年間の長い学校生活を締めくくる人生で一度しかない式典とも言えます。英語で卒業式を “graduation” と言いますが、アメリカでは “commencement” とも言います。すなわち「始まり」という意味の言葉です。ここによく示されているように大学の卒業式は「終わり」ではなく「始まり」なのです。そういうと多くの皆さんは「社会人」の始まりだと思うでしょう。それもそうですがもっと大切なのは「生涯教育」の始まりなのです。いつでも、どこでも、誰でもが生涯学び続ける「生涯教育」の始まりなのです。皆さんは大学教育で、情報を得て、それを分析した上で、自分の考えをコメントして発信することの方法を身につけました。それを土台にして、さらに磨きをかけ、自分に与えられた課題や自分で自分に課した課題を自分なりに納得できる解決方法を見出していくために、生涯自分で自分を教育し続けていく覚悟を持ってください。これが社会人の秘訣です。どんな職業に就いても自己教育し続けることが大切です。

先ほど読んでいただいた聖書か所は、4年前に入学式で読んだのと同じ聖書か所です。同じか所を4年後に聞いてどれだけ理解できるか、どれだけ深く考えることができるかで、自分の成長の度合いを測ることができます。大切なのは他人と比較することではなく、過去の自分と現在の自分を比較することです。この聖書か所は敬和学園の敬和という名前が由来するところで、敬和学園にとって最も重要なか所です。同時にイエスの教えで最も重要な聖書か所でもあります。

イエスは律法の専門家から最も大切な戒めは何かと問われました。ユダヤ教には613の戒めがあります。これらはユダヤ法やイスラーム法の根拠となっています。ユダヤ人はイエス時代も現代もその戒めを守って生きてきました。その中で最も大切なのは十戒です。すなわち十戒の前半は神と人間の根本的な関係を言っており、神は唯一で他に神があってはならない、神の像をつくってはならない、自己正当化のために神の名前を使ってはならない、7日に一度神を礼拝しなくてはならないという戒めでした。十戒の後半は、人間と人間の根本的な関係で、父と母を敬え、殺してはならない、姦淫してはならない、盗んではならない、偽りの証言をしてはならない、隣の家のものを欲しがってはならないという戒めでした。前半の戒めはユダヤ教・キリスト教・イスラーム教に共通な戒めです。後半はユダヤ教・キリスト教・イスラーム教に限らず、仏教でも神道でも儒教でもヒンズー教でも、人類に共通な「普遍的な倫理」(ユニバーサル・エシックス)を述べています。

それをイエスは十戒をすべて愛で解釈し直したのです。すなわち、十戒の前半を「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くしてあなたの神を愛せよ」というユダヤ人であればイエス時代でも現代でも一日に3回祈る祈りの冒頭の言葉で要約したのです。すなわち神を愛する愛です。十戒の後半を「隣人を自分のように愛しなさい」という旧約聖書の隣人愛の言葉で要約したのです。つまり、生きていくのに大切なのは、戒めを守ることではなく、神を愛することと隣人を愛すること、愛が一番大切だと解釈したのです。ここにキリスト教がユダヤ教から分かれていく分水嶺があります。

敬和学園高校の太田俊雄初代校長は、「神を愛する」を日本的文脈で「神を敬う」と解釈し、「隣人を愛する」を日本的文脈で「隣人と和する」と解釈して、新しく始める学園を「敬和」という名前にしました。敬和学園大学は、創立20周年に校歌をつくる際に、「隣人と和する」を21世紀の社会では人間へのサービスが重要な社会なので「人に仕える」ともう一度解釈し直しました。そこで校歌の冒頭は「神を敬い、人に仕える」で始まるのです。皆さんがこれから就く職業においても、地域社会においても、家庭においても、人をもてなし、人に仕え、人にサービスするということを心がけてください。これが敬和精神です。人に仕えることが隣人愛を実践することになるのです。友人を大切にしてください、家族を大切にしてください、健康に気をつけてあなた自身の体を大切にしてください。あなたの生涯が幸せな生涯となりますように心からお祈りいたします。
 
2020年3月19日
敬和学園大学長 山田耕太

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