学長室だより

2004年2月20日号

2月6日(金)の夕刻のこと、ノース・ウエスターン・カレッジから来られたお3人を、敬和学園高校の正面でお送りした後、急いで大学にもどった。英語英米文学科の四年次生による「卒論発表会」なるものが催されているはずで、それに出てみたかった。
部屋にはいると、「ヘミングウェイ」という名が、とつじょ耳にはいった。とたんに、わたしは落ち着いた気分に戻った。これが、そもそもわたしの世界なのだ。しかもヘミングウェイとかフォークナーとかいう作家は、わたしじしん若いころは心酔した作家で、一時はかれらに打ち込もうかと思い、資料もずいぶん集めたことがある。また、つづいて、「使役動詞に関する研究」、「早期英語教育の必要性」などの調査・研究を聞くことができて、敬和学園大学にもこういう分野に地道な関心を抱く学生がいるのか、と不思議にさえ思えるほどであった。(John Fowles の話も聞きたかった。)
ご担当の先生がた、それに同級の学生たちも、質疑に加わった。これがアカデミズムの基本的な雰囲気なのだ。卒論を書いた若人たちは、この時の、この雰囲気を終生忘れまい。この時が出発点になるかもしれないのだ。貴重な時と所であった。(新井 明)