学長室だより

2006年10月27日号

山川丙三郎といえば、ダンテの研究家として名の出た人だ。岩波文庫版の『神曲』はこの人の訳である。しかし、その人が加治村(現、新発田市)の出であることを知る人はすくない。
この山川氏の教え子で、東北学院大学、福岡大学、梅花女子大学その他で教鞭をとられた石川重俊教授が、9月29日に敬和学園大学に来られて、恩師山川を、そしてダンテを語ってくださった。講話の前に山川先生の生まれた土地を観てこられたこともあり、感慨をこめての語りであった。
わたしが北米の小さなカレッジで学んでいたころ、詩人シェリーの研究家としての石川先生がその地をご訪問くださって、お会いしている。ちょうど50年も昔のことだ。今この地に91歳の先生をお迎えできたことを、真に幸いと思っている。ダンテの取り持つご縁としか、言いようがない。(新井 明)