学長室だより

2007年3月2日号

この冬は暖かく、北越の海岸寄りでも、いわば根雪の類いのない2月が過ぎてゆく。この何年か、新入生が春ごとにキャンパスに植えてくれるユリノキのことが心配で、ときどき見にゆく。初めの2年は、正規の植木屋が植えた木であるのに、育たなかった。植え替えた。入学記念樹として植樹式までした木が枯れてはならない。大学側の作業係の調査の結果、その土がマサドと呼ばれる土で、植物に合わないということと、土地の排水が悪いことがわかった。係りの職員は土を掘りかえし、土そのものに養生を加え、また排水溝を設けた。そのあとに植えた樹は、たしかに枯れていない。
木を植えるには、まず土に地力(ちりょく)をつけてやらなくてならない。そのうえ、一本一本がもつ個性に注意を払わなくてはならない。木が育つのは、その努力の結果である。それはキャンパスに遊ぶ若者の成育と同じことである。今、どの木も蕾をつけている。(新井 明)