学長室だより

2007年11月9日号

10月5日は幸せな日であった。遠く横須賀市から阿部志郎先生がお越しくださって、共生社会学科主催の講演をしてくださった。「今求められる社会福祉実践と福祉思想」という、やや硬い演題であったが、新発田市生涯学習センターに集まった学生たち、一般市民の皆さんによくわかる語り口で、福祉の思想とあり方を説いてくださった。弱い方がたの脇に立つことが許されることを幸いと思うこと。またタテ割り行政が引き出す無意味な諸難題を、ヴォランテイアの精神で乗り越えること、などを、明快な実例を数多く例示しながら、またときに聴衆の笑いを誘い出しながら語られた。最近出版された『福祉の伝道者――阿部志郎』(大内和彦著)という本の、そのタイトルは、まさにこの謙虚な福祉の実践者の生き方を言い表わしている。
聴衆のなかに、なんと加藤僖一先生がいらっしゃるではないか。中国・広東省の湛江師範学院で活躍されていた先生に、5月初旬、かの地でお目にかかって以来の再会であった。阿部先生をお迎えし、加藤先生ともお会いできた今日の日は、まさに幸いの日であった。(新井 明)