学長室だより

2008年5月16日号

胎内(たいない)の山は新発田にくらべて春が3週間ほどおそい。残雪さえ認められる山間部の宿舎に、4月下旬、「新入生オリエンテイション」の一向が着く。わたしはすぐに壇一雄の句碑を見にゆく。「生命なり怒涛の果に残る道」。1年ぶりに再会の句。学生部長の開会宣言、宗教部長の開会礼拝のあと、学長として挨拶をするのだが、やはりこの句にふれざるを得なかった。話の前段で、先々週のチャペルで語った「出エジプト」のことにふれた。モーセは「唯一の神」を信ずることを基本にして「種々雑多な人びと」、とくに異邦人、寡婦、その他の社会的弱者たちを伴ってエジプトを出た。心を合わせてこそ、「荒野の40年」も生き残れたのだ。敬和の諸君も、これから力をあわせて行こうではないか。人生で怒涛の難に出会っても、心を合わせて「生命の道」をたどり行こうではないか。「車いす・ガイドヘルプ体験」が行なわれた。その体験をテーマにして、各グループで川柳が作られた。「闇の道相手の声で道つくる」。翌日の聖書講話、ゼミ単位の綱引き大会などを経た1年次生は、全員が打ち解けた。シニア入学の皆さんまで、若返った。(新井 明)