学長室だより

ルツとナオミ・その4

のけ者にされる覚悟でいたルツは、畑の主人の言葉に驚き、地面にひれ伏し「よそ者のわたしにこれほど目をかけてくださるとは。厚意を示してくださるのは、なぜですか」と尋ねている(ルツ記2章10節)。苦しみの連続であったモアブでの生活や悲しい過去を胸に秘め、ナオミと共にベツレヘムにやってきたルツにとって、そこは異国であり、落ち穂拾いも許されるかどうかもわからないでいたからです。
「主人が亡くなった後も、しゅうとめに尽くしたこと、両親と生まれ故郷を捨てて、全く見も知らぬ国に来たことなど、何もかも伝え聞いていました」(11節)と語るボアズの言葉には、優しさが満ちあふれています。更に「どうか、主があなたの行いに豊かに報いてくださるように。イスラエルの神、主がその御翼のもとに逃れてきたあなたに十分に報いてくださるように」と語りかけていますが、これがその当時の神の祝福を祈り求める言葉でした。
「あなたのはしための一人にも及ばぬこのわたしですのに、心に触れる言葉をかけていただいて、本当に慰められました」(13節)と語るルツの言葉から、小さな配慮や心遣いが、傷ついている人の心を癒すのだという事実が伝わってきます。(鈴木 佳秀)