学長室だより

ルツとナオミ・その11

ナオミはルツに「あの人は今晩、麦打ち場で大麦をふるい分けるそうです。体を洗って香油を塗り、肩掛けを羽織って麦打ち場に下って行きなさい」と語りかけています(ルツ記3章2節~3節)。ルツに身だしなみを整えさせ、晴れ着を着て麦打ち場に行くように指示したのです。麦打ち場は神聖な場所で、刈り入れの後、穀物をふるいに分け脱穀するのですが、働いた農夫たちが畑の主人と共に、その場で収穫を祝う習わしがありました。
ルツに対する指示はそれだけではありませんでした。「ただあの人が食事を済ませ、飲み終わるまでは気づかれないようにしなさい」とナオミは語っています。更に彼女は大胆な計画を口にします。ルツに対し「あの人が休むとき、その場所を見届けておいて、後でそばへ行き、あの人の衣の裾で身を覆って横になりなさい。その後すべきことは、あの人が教えてくれるでしょう」(4節)と語っているからです。
ルツがいまナオミと共に生活していないならば、レヴィラート婚も別の形を取らざるを得なかったでしょう。ルツの決断が、この時に用いられることになるのです。しかし、ナオミはルツに何をさせようとしているのでしょうか。衣の裾で身を覆うのは、夫婦のみがなし得ることだからです。(鈴木 佳秀)