学長室だより

ルツとナオミ・その18

ルツの告白は、彼女のひたむきな気持ちを表わしたものでした。「若者なら、富のあるなしにかかわらず追いかけるというようなことをしなかった」とルツのことに触れるボアズの言葉から(ルツ記3章10節)、彼がルツをどのような女性と捉えていたかが分かります。レヴィラート婚のためなら、親戚の誰でも良いから追いかけるということをせず、ボアズに責任を負ってくださいと求めたルツの心を、彼はしっかりと受けとめたのです。
「この町のおもだった人は皆、あなたが立派な婦人であることをよく知っている。確かにわたしも家を絶やさぬ責任のある人間ですが、実はわたし以上にその責任のある人がいる」(11節)と語るボアズは、ルツのために、どんな責任でも負って果たそうという気持ちになったと思われます。ボアズの優しさとルツのひたむきな心が、二人を結びあわせたのです。ナオミが願っていたのは、このことでした。
この心の出会いは、ルツが示した真心(ヘセド)が基点になっていますが、それを導き出したのは最初の出会いにおいてルツに示した、ボアズの憐れみに満ちた配慮でした。二人の会話において、ルツのヘセドとボアズのヘセドが重なり合う瞬間が訪れたのです。(鈴木 佳秀)