学長室だより

ルツとナオミ・その19

ボアズはルツの申し出を受けいれたのですが、レヴィラート婚という制度の枠内でどのように責任を果たせるのでしょうか。ルツを愛するという気持ちだけで、すべての問題を解決できるわけではないのです。
「今夜はここで過ごしなさい。明日の朝その人が責任を果たすというのならそうさせよう。しかし、それを好まないなら、主は生きておられる。わたしが責任を果たします。さあ、朝まで休みなさい」(ルツ記3章13節)とルツに語るボアズは、自分以上に責任を果たすべき人がルツを受けいれるのかどうかは分からない状況で、行く末を主なる神に委ねる決意なのです。
「主は生きておられる」という告白は、ボアズの決意の信仰を語って余りあるものですが、神に委ねて何もしないという意味ではありません。ルツの行動は命がけだったからです。法的にルツはナオミの嫁、亡くなった息子の「妻」ですから、配慮を必要としているのです。夜半にルツをそのまま家に帰さず朝までルツを自分のそばに留めたのは、夜は危険が多いからです。「麦打ち場に彼女が来たことが人に知られてはならない」というのも(14節)、それが知られるとこれからの計画がすべて無に帰し、ルツの生命も危険にさらしてしまうからです。(鈴木 佳秀)