ダビデの物語(3代目学長 鈴木佳秀)

ダビデの物語・プロローグその9[2010-09-10]

サムエルをシロの祭司エリに託し、ハンナは家に帰ったと聖書は語ります(サムエル記上2章11節)。母親として苦渋の決断であったに違いないのですが、彼女の心の内側までテキストは描いていません。母親の元から引き離され、サムエルはエリの家族の中で下働きの訓練を受けながら育つのです。サムエルがどれほど母親を慕い求め、泣いていたのかも聖書は語りません。
この壮大な叙事詩は、個人の気持ちや思いを描くことに力点を置いていないからです。神が選ばれた人の歩みと、選ばれたその人の神への主体的な応答を軸に、歴史の流れを描こうとしているのです。
「サムエルは、亜麻布のエフォドを着て、下働きとして主の御前に仕えていた。母は彼のために小さな上着を縫い、毎年、夫と一緒に年ごとのいけにえをささげに上って来るとき、それを届けた」(18節~19節)と聖書は語っています。さりげない描写から、母ハンナの思いが伝わってくるのではないでしょうか。
祭司エリは、エルカナに「主に願って得たこの子の代わりに、主があなたにこの妻による子供を授けてくださいますように」(20節)と語り祝福しています。ハンナはその後、息子三人と娘二人に恵まれるのです。(鈴木 佳秀)

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