学長室だより

ダビデの物語・プロローグその11

「人が人に罪を犯しても、神が間に立ってくださる。だが、人が主に罪を犯したら、誰が執り成してくれよう」と息子たちを諭しているので(サムエル記上2章25節)、彼らが犯していた罪をエリは知っていたはずです。しかしその後、エリのもとに神の人が訪れ「なぜ、自分の息子をわたしよりも大事にして、わたしの民イスラエルが供えるすべての献げ物の中から最上のものを取って、自分たちの私腹を肥やすのか」(29節)と告発しています。
当時の預言者は、時に神の人と呼ばれ、示された人に神からのメッセージを伝えていたのです。「それゆえ、イスラエルの神、主は言われる」という口上の型が、メッセンジャー類型と呼ばれています(30節)。神の人や預言者は、神の声を聞き、その言葉を忠実に聞き手に伝達するため遣わされていたことがわかります。神の人が語った言葉には、二人の息子の死が含まれていました。神はまた「わたしはわたしの心、わたしの望みのままに事を行う忠実な祭司を」立てると宣言しています(34節~35節)。この時、エリはサムエルをめぐる神のご計画に気付いたでしょうか。エリ一族が没落の危機にある時、サムエルがエリに託されたからです。(鈴木 佳秀)