学長室だより

ダビデの物語・プロローグその13

サムエルに語られた神の言葉は峻烈で、息子たちが神を汚す行為をしていると知っていながらとがめなかった罪のため、エリの家の罪は何によってもとこしえに贖われない、という内容でした(サムエル記上3章13節~14節)。サムエルは朝まで眠って、それから主の家の扉を開いたと聖書は語ります(15節)。彼はお告げをエリに報告するのを恐れたのです。
しかしエリは、主なる神がサムエルに何を語られたのかを知ろうとして「わが子、サムエルよ」と彼を呼び寄せます。サムエルが「ここにいます」と答えると、エリは「お前に何が語られたのか。わたしに隠してはいけない。お前に語られた言葉を一つでも隠すなら、神が幾重にも罰してくださるように」とサムエルに命じます(16節~17節)。
エリの言葉に従い、サムエルは一部始終を話し隠し立てをしなかったとあります。エリは「それを話されたのは主だ。主が御目にかなうとおりに行われるように」という言葉を口にしています(18節)。
この時、エリもサムエルもそれぞれに託された神の意思を初めて知らされたことになります。ハンナの祈りがこのような形で成就することなど、誰も想像できませんでした。(鈴木 佳秀)