学長室だより

ダビデの物語・サウルの活躍その1

ダビデの台頭史はサムエル記上16章から始まります。それはサウルが王位から外され、サムエルがダビデに油を注いで王に任職する場面です。ダビデの物語はそこから始まりますが、しばらくサウルのことをお話しする必要があります。
サムエルは士師として民を率いてきました(7章15節~16節)。息子たちが年老いたサムエルの後を継ぐのですが、賄賂によって裁きを曲げたのです(8章1節~3節)。イスラエルの長老たちはサムエルに対し「ほかのすべての国々のように」裁きを行なう王を立てるよう要求します(5節)。息子たちの不正を指摘されたサムエルには、かつてエリの息子たちの不正の故にその一族の滅亡を伝えた過去があります。民の要求はサムエルの目に悪と映ったのですが(6節)、サムエルは主なる神に祈りを捧げ、御旨を求めます。神は「民があなたに言うままに、彼らの声に従うがよい。彼らが退けたのはあなたではない。彼らの上にわたしが王として君臨することを退けているのだ」(7節)とサムエルに語り、王を求めることと他の神々に仕えることとが同定されています(8節)。執り成しをする人でなく、神の代行者を求めたことが問題とされているのです。なぜでしょうか。(鈴木 佳秀)