ダビデの物語(3代目学長 鈴木佳秀)

ダビデの物語・ダビデの台頭史その6[2011-04-01]

竪琴の名手という伝承(サムエル記上16章18節)は、多くの詩編がダビデに(ダビデが作者という形で)献じられているので、エルサレムの伝承であることに間違いありません。「神の霊がサウルを襲うたびに、ダビデが傍らで竪琴を奏でると、サウルは心が安まって気分が良くなり、悪霊は彼を離れた」(23節)と伝えています。ダビデが奏でる竪琴がサウルの心を慰めたという伝承は、支配者(独裁者)の悩める内面を語っています。
「神の霊」と「悪霊」との関わりから、神が悪しき霊をサウルに送ったという印象が強いのですが、そうであるならサウルがノイローゼになる原因は神だということになります。神の選びを自分流に捉えほしいままに行動したサウルは、知らずに神への反逆に手を染めたのです。神に忠実なつもりでも、それにみあう神からの助けが来ないことが、彼を悩ませたのです。ノイローゼに陥ったのは、神に見捨てられたのではないかという猜疑心が原因です。なぜ悪霊と表現されるのでしょうか。神の霊が下るとカリスマを感じ勇猛に戦えるはずですが、この猜疑心が神からの霊を悪霊と思わせたのです。死への誘いと感じたからでしょう。独裁者を狂わせるのはこの猜疑心です。(鈴木 佳秀)

ページトップ

メールを送る

このサイトについて | 個人情報について | ソーシャルメディア・ポリシー | 採用情報