ダビデの物語(3代目学長 鈴木佳秀)

ダビデの物語・ダビデ王位継承史その48[2013-03-15]

陰謀が固められ、アブサロムのもとに集まる民は数を増したとサムエル記は伝えています(下15章12節)。古代イスラエル社会には、カナンの都市国家による支配をすんなり受け入れる素地はまだ育っていなかったのです。ダビデ王は、外敵を防ぎ、ペリシテによる支配の危難から救ってくれた英雄でした。しかしダビデの王国も、エルサレムを首都に定め、エルサレム土着の祭司をそのまま召し抱え、他の都市国家と同じ賦役や租税を課す体制へと移行すると同時に、民の間に不満が高まり始めたと言えます。賦役国家であったエジプトの支配を逃れ、自由を目指して脱出してきた先祖たちの苦悩について、それが人々の記憶から完全に失われることのなかった時代です。不満を持つ北の諸部族が続々とアブサロム支持に回ったのは、新しい王の下で栄達の機会が生まれると期待したからでしょう。王が交代すれば、高官や官僚のポストが一掃される可能性があったからです。
「イスラエル人の心はアブサロムに移っているという知らせが、ダビデに届いた。ダビデは、自分と共にエルサレムにいる家臣全員に言った。『直ちに逃れよう。アブサロムを避けられなくなってはいけない。我々が急がなければ、アブサロムがすぐに我々に追いつき、危害を与え、この都を剣にかけるだろう。』」(13節〜14節)南と北にはさまれている危機を察知したのは、歴戦の王に相応しい軍事判断でした。(鈴木 佳秀)

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