ダビデの物語(3代目学長 鈴木佳秀)

ダビデの物語・ダビデ王位継承史その73[2013-09-06]

「アヒマアツは『王に平和』と叫び、地にひれ伏して礼をし、言った。『あなたの神、主はほめたたえられますように。主は主君、王に手を上げる者どもを引き渡してくださいました。』王が、『若者アブサロムは無事か』と尋ねると、アヒマアツは答えた。『ヨアブが、王様の僕とこの僕とを遣わそうとしたとき、大騒ぎが起こっているのを見ましたが、何も知りません。』」(サムエル記下18章28節〜29節)
「王に平和」とアヒマアツが語った言葉は、「シャローム」で「神の平安がありますように」という挨拶の言葉です。「あなたの神、主はほめたたえられますように」と型どおりに伝えたのは味方の勝利でした。アヒマアツはそれを伝えることができれば、すべてが説明されるものと思い込んでいたのです。しかしダビデは「若者アブサロムは無事か」と尋ねています。自軍が勝利すること以上に、息子の消息が何よりも気がかりだったからです。敵と味方に分かれて戦いを交える場合、敵の王である人物が戦場で敗れた場合、捕縛され命が助かることもありえましたが、戦場のことですから殺されることの方が多いのは予想できることです。ダビデは戦いを知り抜いていた人物です。だからこそ配下の将軍たちに「若者アブサロムを手荒には扱わないでくれ」(下18章5節)と命じたのです。その命令が守られているのか、戦いに勝利すること以上に、それが父親の心を占めていたのです。自軍が戦いに負けたなら、息子の前に自分の首を差し出すくらいのつもりだったと思われます。生きていてくれ、それが彼の願いでした。(鈴木 佳秀)

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