ダビデの物語(3代目学長 鈴木佳秀)

ダビデの物語・ダビデ王位継承史その80[2013-10-25]

「ヨアブの従者の一人が傍らに立って言った。『ヨアブを愛する者、ダビデに味方する者はヨアブに続け。』だが、アマサが道の真ん中に血にまみれて転がっていたので、兵士たちは皆立ち止まった。この男はそれを見てアマサを道から畑に移し、そこまで来た者がそれを見て立ち止まることのないように、その上に衣をかぶせた。アマサが道から除かれると、兵は皆、ヨアブの後についてビクリの息子シェバを追跡した。」(サムエル記下20章11節〜13節)
この聖書の箇所から、軍事的政治的なスローガンが帯びている危険な兆候について学ぶことができます。王の命令で行われたのではないアマサ殺害を、ヨアブの従者は巧妙な言葉で言いくるめているからです。「ヨアブを愛する者」という言い方はヨアブに命を託す者という意味に近いのですが、それを「ダビデに味方する者」と言い替えています。これこそが政治的スローガンなのです。ヨアブが行ったことは、ダビデに味方する行為であると詐称しているのです。アマサの遺体を見た兵士は、その言葉に戸惑いを感じたはずです。王の命令でアマサが召集軍を集めていたのを知っていたからです。誰しも「ヨアブを愛する者、ダビデに味方する者はヨアブに続け」という言葉の裏に、何かを探り始めるのは自然です。アマサの遺体を隠すことで、ヨアブの部下は政治的スローガンを見事にカモフラージュしたのです。このヨアブにしてこの部下あり、と言えます。(鈴木 佳秀)

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