ダビデの物語(3代目学長 鈴木佳秀)

ダビデの物語・ダビデ王位継承史その97[2014-03-07]

「また、あなたのもとにはバフリム出身のベニヤミン人ゲラの子シムイがいる。彼はわたしがマハナイムに行ったとき、激しくわたしを呪った。だが、彼はわたしを迎えにヨルダン川まで下って来てくれた。わたしは彼に、『あなたを剣で殺すことはない』と主にかけて誓った。しかし今、あなたは彼の罪を不問に付してはならない。あなたは知恵ある者であり、彼に何をなすべきか分かっているからである。あの白髪を血に染めて陰府に送り込まなければならない。」(列王記上2章8節〜9節)
この遺言を読むと、人は理解に苦しむかもしれません。自分が犯した罪を悔いて主なる神の赦しを願った王が、自分を呪った者に厳しい処罰を下すよう求めているからです。ゲラの子シムイは、主の名によってダビデを呪った人物です。「出て行け、出て行け。流血の罪を犯した男、……サウル家のすべての血を流して王位を奪ったお前に、主は報復なさる。主がお前の息子アブサロムに王位を渡されたのだ。お前は災難を受けている。お前が流血の罪を犯した男だからだ。」(サムエル記下16章7節〜8節)。自分が呪われたので、報復をソロモンに命じたのではありません。シムイが主なる神の名によって呪ったからなのです。人を呪うため神の名を用いることは、呪術的な力をふるうため神の名を利用することです。それは呪文であり、神強制(ヴェーバー)なのです。十戒にある「神の名を空しく唱えること」は、神を冒瀆する罪となります。主の名において恩赦を与えたダビデが、シムイの処罰を息子に委ねたのは、個人的な恨みからでなく、王国の聖なる正統性に関わることだったからです。(鈴木 佳秀)

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