学長室だより

北帰行が近づいて

その後も、たった一羽で空を飛ぶ白鳥を見かけました。暖かい日が続くと、白鳥たちは北を目指して飛び立つのですが、一羽になった白鳥が気になって仕方がありません。最近は姿を見なくなりましたが、仲間の群れと一緒に飛び立って欲しいと願っています。
個人的には、わたくしも飛び立つ日が近づいています。わたくしの場合は南に向かうことになります。この新潟の地に32年間住んでいたものですから、ここがわたくしの古里だと感じてきました。転勤族の家族のひとりであったため、永住という感覚がなく、時が来ればまた引越をするという感覚が、自然に身についてしまっているのです。しかし、この32年は違います。生まれ育った故郷ではないのですが、実質的に職業人として働いたのがこの新潟の地であったため、この地を古里に決めたのです。ですから、横浜に旅立つに際して、身軽な家財道具だけで済ませるつもりです。新潟を拠点にして、横浜との間を往復する生活が始まります。渡り鳥のような晩年を迎えようとしていますが、転勤族の血が騒ぎます。新しい出会いがあり、新しい友人が与えられると確信しています。そうした好奇心をもって、小さい頃から新しい小学校や中学校に向かったのです。いじめという辛い出会いもありましたが、多くは楽しい経験で終わりました。転勤する先で、その土地独特の食べ物やお祭り、方言に接したのも楽しい思い出です。横浜には、同じような気持ちで旅立つつもりです。(鈴木 佳秀)