学長室だより

敬和学園大学Q&A1

Q:「敬和」という大学の名前は何に由来し、どういう意味があるのですか。

A:「敬和」という名前は、新約聖書の「最も重要な戒め」(マルコ福音書12:28-34)に由来します。この短いエピソードには、キリスト教の教えの核心が表現されています。イエスはユダヤ教の専門家に最も重要な教えは何かと問われました。ユダヤ教には350余りの「してはいけない」という戒めと250余りの「しなければならない」という戒めを併せて613の戒めがあります。その根幹に「モーセの十戒」(出エジプト記20:1-17)があり、それはユダヤ教ばかりでなく、キリスト教とイスラム教の宗教倫理の根幹をも成しています。
イエスは十戒前半の神に関する4つの戒め(唯一の神、偶像崇拝の禁止、神の名を使用禁止、安息日の遵守)を「神を愛せよ」(申命記6:4)と要約し、後半の人間に関する6つの戒め(親を敬うこと、殺人・姦淫・盗み・偽証・隣家の物を奪うことの禁止)を「隣人を愛せよ」(レビ記19:18)と要約して答えました。「神への愛」も「隣人愛」も、古代であれ現代であれ、ユダヤ人であれば誰でもが知っている旧約聖書の言葉です。イエスのユニークさは、十戒の根底には愛の精神が流れていると見て、愛の精神で十戒を解釈した点に見られます。ここにユダヤ教からキリスト教が分かれていく分水嶺があります。
敬和学園高校の初代校長太田俊雄は「神を愛する」を「神を敬う」、「隣人を愛する」を「隣人と和する」と日本的な文脈で表現し直して、「敬和」と名付けました。また、高校から発展する学園構想を持っていたので「学園」と名付けました。敬和学園が愛と希望に溢れる学園でありたいと願っています。(山田 耕太)