学長室だより

戦後70年目の重い証言

今年も連日の猛暑が続く中で8月15日の敗戦の日が巡ってきました。ところが、戦後70年という節目の年に、国会では平和主義の国家路線が危ぶまれる法案が審議されています。
7月29日のBSN NEWS23<千の証言>「「女たちの赤紙」従軍看護婦“二つの戦争”を生きて」という10分間のドキュメンタリーを偶然見ました。8月8日の夜11時からBS-TBS「未来へつなぐ。土曜スタジアム」で、それを元にリメイクした1時間のドキュメンタリー「女たちの赤紙」(8月2日放送)の再放送をこれも偶然見ました。
登場人物の長岡市在住の石黒三沙子さん(89歳)は日赤の従軍看護婦として、赤紙で旧満洲に派遣され、最前線の病院で傷病兵の手当をすると共に軍医の命令で治る望みのない兵士に絶命注射を打つ経験もしました。その頃を「命令に従って行動し、自分という存在がなかった」と語っておられました。リメイク番組では敗戦直後に始まった中国の共産党軍と国民党軍との内戦に巻き込まれた後、今では中国の立派な病院となった看護教育の基礎を築いた一面も紹介されました。
石黒さんのお孫さんの石橋千尋さんは本学の卒業生で、入学した年に祖母の三沙子さんをチャペル・アッセンブリ・アワーの講師に推薦してくださり、2009年10月16日と2011年6月17日の2回、学生に向けた「私の戦争体験」のお話が実現しました。今回は映像を通してお二人の姿を見ました。三沙子さんと千尋さんの二人三脚のご活躍をお祈りいたします。(山田 耕太)