学長室だより

弥生の空の下で

一面の雪原の中に夕日が西の空を茜色に染めて沈んでいくころとなりました。2月は瞬く間に過ぎさっていき、3月になりました。敬和学園大学は学生の教育に力を入れた大学です。キャンパスでは学生たちが主人公となって主体的に学び、さまざまな経験を積んで大きく成長していくことに力を入れています。

教員たちは春休みや夏休みの期間に、教育から研究にスイッチを切り替えて、研究に集中して力を蓄えています。私事で恐縮ですが、私も文部科学省の科学研究費研究成果公開促進費と本学の出版助成費をいただいて、新約聖書学の専門書『Q文書-訳文とテキスト・注解・修辞学的研究』を2月末に出版することができました。心から感謝します。6年前から日本新約学会などで発表してきた論文などをまとめて出版したものです。

2018.3.2学長ブログ

山田耕太学長著『Q文書-訳文とテキスト・注解・修辞学的研究』

 

Q文書とは、マタイ福音書とルカ福音書を執筆する際に、マルコ福音書と共に用いたイエスの言葉を中心にした文書で、現在では残っていない「失われた福音書」とも呼ばれているものです。それを復元したギリシア語のテキストに日本語訳と注解をつけて、修辞学的分析を施したものです。40年前の大学院生のころから「Qとは何か」という問いを持っていました。この本は現在の私には至らぬ点がまだまだありますが、40年前の私は納得してくれるでしょう。

今年の9月7日と8日には、本学で日本新約学会が開催されます。12年前にも本学で日本新約学会が開催されました。今回も日本の主要なキリスト教大学や国立大学で活躍している教員が40人前後集まって研究発表を巡って議論することになるでしょう。その前日の9月6日午後には、昨年秋から刊行され始めた『NTJ新約聖書注解書』(NTJ: Novum Testamentum Japonicaの略)の編集者会と執筆者会が開催されます。(山田 耕太)