なぜモーセが法典の語り手なのか
法典は親しく相手に語りかける文体で戒めや掟を提示しています(申命記12章〜26章)。古代メソポタミアの法典(法集成)は、王が法の神(シャマシュ)から統治を委託され、客観的に三人称表現で規定を記述してい...
法典は親しく相手に語りかける文体で戒めや掟を提示しています(申命記12章〜26章)。古代メソポタミアの法典(法集成)は、王が法の神(シャマシュ)から統治を委託され、客観的に三人称表現で規定を記述してい...
編集者が異なった文体を使わざるをえなかった理由、それを説明しなければなりません。偶然では説明になりません。悲劇的な歴史がそこに潜んでいることに気づかされたのです。二人称単数形が帯びている文体要素をもっ...
申命記法典には、中央聖所の規定の他に裁判人や役人が地域住民を指導すべき事柄が、条文として編纂されています。その理由を同化政策の観点から説明できたのです。「あなたはあなたの葡萄園に二種類の種を蒔いてはな...
申命記16章18節に「あなたはあなたの神ヤハウェがあなたに与えるすべてのあなたの町の門の内に、あなたは、あなたの部族ごとに、裁判人と役人とを〔任命して〕立てなければならない。彼らは正しい裁きをもって民...
文献資料の歴史的背景が明らかにされただけで結論を出すのは拙速です。デ・ヴェッテの論は仮説に過ぎないからです。でも彼の説が評判になると、人はそれを使って自分の論議を展開したがるのです。多くの研究者がそれ...
相手に語りかける文体様式の単数形と複数形とが混在している申命記法典が、なぜ前7世紀の南ユダの王ヨシヤの改革と関係するのか。この学問的な問題提起は、1805年にドイツ人デ・ヴェッテが公にしたラテン語の論...
第三の文体は、イスラエル全体を統合させて「あなた」と呼びかけるものです。7章6節「あなたはあなたの神ヤハウェの聖なる民であり、あなたの神ヤハウェは、地上のすべての民の中からあなたを選び、自らの宝の民と...
祈り続ける中で、ひらめきが与えられる経験をしました。「求めなさい。そうすれば与えられる。探しなさい。そうすれば見つかる。」(マタイによる福音書7章7節)という聖書の言葉は、苦しい探求の中で成就したので...
二人称の単数形と複数形が同一法文の中に混在している理由を解き明かすこと、それがわたくしに課せられた課題でした。その謎解きのために、相手に語りかける様式に注意を払ってきたのですが、それでは駄目だと思い知...
関根正雄先生に提出するレポートを書いた時の聖書テキストを持参してきていました。ビブリア・ヘブライカと呼ばれるヘブライ語聖書で、日本では旧約聖書と呼ばれていますが、その申命記の分冊を机の上に広げたのです...