学長室だより

ダビデの物語・ダビデの台頭史その32

ダビデはアビガイルに「イスラエルの神、主はたたえられよ。主は、今日、あなたをわたしに遣わされた。あなたの判断はたたえられ、あなたもたたえられよ。わたしが流血の罪を犯し、自分の手で復讐することを止めてくれた。イスラエルの神、主は生きておられる。主は、わたしを引き止め、あなたを災いから守られた。あなたが急いでわたしに会いに来ていなければ、明日の朝の光が射すころには、ナバルに一人の男も残されていなかっただろう」と答え、執り成しの品物を受けています(サムエル記上25章32節~35節)。復讐という私憤に基づく流血の罪を犯す危機から救ってくれたアビガイルに「平和に帰りなさい。あなたの言葉を確かに聞き入れ、願いを尊重しよう」とダビデは語りかけています(35節)。
アビガイルは夫に相談せず独断でこのことを行いました。帰ってみると、何も知らないナバルは王の宴会にも似た宴の最中であったといいます。「ナバルは上機嫌で、かなり酔っていたので、翌朝、日が昇るまで、彼女は事の大小を問わず何も話さなかった。翌朝、ナバルの酔いがさめると、彼の妻は成り行きを話して聞かせた。ナバルは意識を無くして石のようになった」と伝えています(36節~37節)。意識が戻ることなく、十日ほどして彼は死んだと伝えられています。(鈴木佳秀)