キャンパス日誌

2024年度 国際文化学科卒業論文・卒業制作発表会を開催しました

国際文化学科の卒業論文・卒業制作発表会を行いました。
歴史探究コース、多文化理解コース、国際社会コース、情報メディアコースのすべてのコースから9人の学生が発表会に参加し、4年間の学びの成果を発表してくれました。
また当日は大雪による荒天が予想されたため、Zoomとの併用による遠隔/対面のハイブリッド型での実施となりました。

 

卒業論文・卒業制作発表

杉山高天さん「就職・採用活動におけるAI利用」(加藤裕康教授)

就職・採用活動におけるAI利用とその倫理的・道徳的課題をテーマに設定しました。企業の採用活動としてのエントリーシート選考・面接選考、学生の就職活動という局面にわけてそれぞれの評価点とリスクを検討し、そのうえでAI利用方針を策定・公表していくことが今後の課題であると提起しました。

杉山高天さん「就職・採用活動におけるAI利用」

杉山高天さん「就職・採用活動におけるAI利用」

 

小林和紗さん「安楽死の年齢制限撤廃が引き起こすこと」(藤本晃嗣教授)

安楽死の年齢制限撤廃(=未成年への適用)について、オランダとベルギーの事例を検討しました。30年近くの議論を経て法制度を整備したオランダと、その成果を受けて3年で法制度を導入したベルギーの動向を踏まえ、未成年への安楽死の適用という繊細な問題を法制度として導入する際には、慎重な検討を丁寧に重ねる必要があると結論しました。

小林和紗さん「安楽死の年齢制限撤廃が引き起こすこと」

小林和紗さん「安楽死の年齢制限撤廃が引き起こすこと」

 

小杉日和さん「佐渡金山と朝鮮人労働者」(一戸信哉教授)

佐渡金山の世界文化遺産登録という機運を背景に、戦時下の朝鮮人労働者にかかわる案内板が立ったことの意味を問い、映像作品にまとめました。佐渡教会の荒井真理さんや相川キリスト教会の小野弘さんなど、関係者の方々にインタビューした内容を手際よく織り込みました。

小杉日和さん「佐渡金山と朝鮮人労働者」

小杉日和さん「佐渡金山と朝鮮人労働者」

 

土門海音さん「北海道・サロベツを切り拓く〜庄内からの戦後開拓〜」(一戸信哉教授)

山形県庄内地方から北海道天塩郡豊富町へ向かい、農地を開拓した人びとを取材し、映像作品にまとめました。戦後開拓の入植者には満州移民の引揚者が多かったこと、開墾・営農・酪農への転業・飲料水の確保などに伴う労苦、子どもの教育や文化の継承をめぐる困難などが、開拓1世・2世の証言を通して紹介されました。

土門海音さん「北海道・サロベツを切り拓く〜庄内からの戦後開拓〜」

土門海音さん「北海道・サロベツを切り拓く〜庄内からの戦後開拓〜」

 

チルネショーワ真梨弥さん「樺太・引き揚げー故郷の記憶ー」(一戸信哉教授)

敗戦直後の樺太引き揚げの歴史をたどりながら、引揚者である濱谷悦子さんや大村純子さんにインタビューし、敗戦直後の引揚やロシア人との混住の様子、戦後日本でのいじめや差別、平和への思いなどをフィルムに収めました。この取材は、ロシアと日本の2つのルーツを持つ自分自身のアイデンティティを見つめ直す旅路でもあったそうです。

チルネショーワ真梨弥さん「樺太・引き揚げー故郷の記憶ー」

チルネショーワ真梨弥さん「樺太・引き揚げー故郷の記憶ー」

 

阪井芽衣さん「進撃の巨人における対話の意味について」(金耿昊准教授)

漫画「進撃の巨人」を題材に、人びとが自分の共同体の外にいる巨人と出会い、対話を通して葛藤し心境を変化させていく過程をたどりました。極端な結論が容易に導き出されてしまう状況の中で、異質な存在を理解しようとする姿勢にこそ希望があると提起しました。

阪井芽衣さん「進撃の巨人における対話の意味について」

阪井芽衣さん「進撃の巨人における対話の意味について」

 

梅澤志帆さん「兄弟関係は人の性格をどのくらい規定するのか」(丸畠宏太教授)

人の性格と兄弟構成との影響関係というテーマについて論じました。第一子/中間子/末っ子/一人っ子の性格をめぐる先行研究の分析を紹介し、そのうえで14名の青年を対象に行ったアンケート調査の結果をもとに独自の考察を加えました。人間の性格にはさまざまな社会環境が関係しますが、兄弟構成や生まれ順もある程度の影響を与えることが確認されました。

梅澤志帆さん「兄弟関係は人の性格をどのくらい規定するのか」

梅澤志帆さん「兄弟関係は人の性格をどのくらい規定するのか」

 

高橋悠さん「北方領土から平和について考えるー教育実習での経験から」(丸畠宏太教授)

教育実習での経験をもとに、いま中学校で戦争と平和をめぐる問題を教える方法について考察しました。北方領土をめぐる問題をとりあげ、日本とロシアの領土問題・歴史認識問題を、どのように「主体的で対話的な学び」として実施していくのかが検討されました。

高橋悠さん「北方領土から平和について考えるー教育実習での経験から」

高橋悠さん「北方領土から平和について考えるー教育実習での経験から」

 

齊藤憧子さん「プリキュアに潜むジェンダー規範」(藤本晃嗣教授)

「女の子だって暴れたい」をコンセプトに生まれたアニメ「プリキュア」の近年4作品を題材に、ジェンダー分析を行いました。女性へのジェンダーロールを解放し、性の多様性を示す模索が重ねられてきたこのシリーズの中にも、性別役割分業の規範が入り込んでいると指摘しました。
このほかに「デカルト「神の存在証明」を読み解く」との発表も予定しておりましたが、体調不良のため遠隔参加となったこともあり、1本のみの発表となりました。

齊藤憧子さん「プリキュアに潜むジェンダー規範」

齊藤憧子さん「プリキュアに潜むジェンダー規範」

 

発表20分、質疑応答10分という短い時間でしたが、学生たちはいずれもそれぞれの努力がよく見える発表をしてくれました。また多様なテーマから、現在の私たちの社会の姿が見えてくるようでした。発表には熱心な質問やコメントが寄せられ、最後は全員に対して大きな拍手が送られました。本当に皆さん、お疲れさまでした。よい報告をありがとうございました。(国際文化学科准教授 金耿昊)

発表学生と指導教員・参加者で記念撮影

発表学生と指導教員・参加者で記念撮影

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