ダビデの物語(3代目学長 鈴木佳秀)

ダビデの物語・ダビデ王位継承史その63[2013-06-28]

「アヒトフェルは自分の提案が実行されなかったことを知ると、ろばに鞍を置き、立って家に帰ろうと自分の町に向かった。彼は家の中を整え、首をつって死に、祖先の墓に葬られた。」(サムエル記下17章23節)淡々と語られるこの場面は、ヨルダン川を渡り切ったダビデ軍に勝機が移ってしまったことを物語ります。叡知にあふれた戦略家は、天才的な提案を王に語ったにもかかわらず、それが退けられ、フシャイの提案が採用されたのです。アヒトフェルはバト・シェバ(下11章3節)の祖父で(下23章34節)、かつてはダビデ王の顧問でした。恐らく王に反発してギロに隠居していたと思われます(下15章12節)。アブサロムが王位に就いたとき、巻き返しを狙ったのでしょうか。報復のためだったのでしょうか。彼はその才能に恥じない提案をアブサロムに示すことができました。ダビデを追討し時を移さずに討ち取るというのが、彼の提案でした。ダビデを討たなければ、すべてが破綻するのを知っていたからです。提案が実行されなかったことを知り、自分は必要とされていないと悟ったのです。故郷に帰り、身辺を整理し自害してしまいました。
旧約聖書の中で自殺した人、自殺しようとした人の例は限られています。アビメレク(士師記9章54節)、ジムリ(列王記上16章18節)、サウルとその従者(サムエル記上31章4節〜5節)、そしてアヒトフェルです(続編・トビト記3章10節参照)。寂しく死んだのはアヒトフェルだけです。(鈴木 佳秀)

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